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2018 年度 実施状況報告書

重度脳損傷児の生活を支えるケアのための研究方法開発

研究課題

研究課題/領域番号 17K12381
研究機関摂南大学

研究代表者

亀田 直子  摂南大学, 看護学部, 助教 (70737452)

研究分担者 家高 洋  東北医科薬科大学, 教養教育センター, 准教授 (70456937)
池田 友美  摂南大学, 看護学部, 准教授 (70434959)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2021-03-31
キーワード子ども / 重度脳損傷 / ケア / ケア提供者 / 重症心身障害 / Vegetative State / 最小意識状態 / 質的研究
研究実績の概要

重度脳損傷児の反応は微細で再現性が乏しく、本人に確かめることは難しい。重度脳損傷児のケアにおけるケア提供者の経験にも不確かさが含まれる。本研究では重度脳損傷児のケア場面を質的に記述すること、Max van Manen(1990)の解釈学的現象学的方法を基盤として取り組んできたこれまでの研究方法を他の研究者が実践可能な方法に改良することにより、重度脳損傷児の生活を支えるケア向上に寄与することを目指している。
2018年度は重度脳損傷児6例のデータ分析を行った。5歳の重度脳損傷児に焦点を当て、日常に埋もれていたケア提供者の経験(オムツ交換時の臀部が軽すぎると感じたこと等)を共有することで、児の表現(排尿を伝えている)の可能性に気づき、児の瞼の動きを活用した遊びへと発展し、母親の面会頻度が月に1回から毎日に変わったことを提示し、日常に埋もれている主観的経験に気づき、共有することの重要性を国際学会(The 13th World Congress on Brain Injury)にて発表した。当該学会では植物症と最小意識状態の誤診克服が主要課題として議論されており、海外の意識障害研究チーム代表者から「この重要課題に貢献し得る研究である」との評価を得た。また彼の研究チームメンバーの紹介を受け、意見を交換することができた。
これまで十分には言語化し難い事象、不確かさを含む経験をより客観的に捉えるため参加観察の比重を重く設定し、かつグループインタビューを実施していた。この方法では記録と分析に膨大な時間を要した。研究推進力を増しケア向上に繋げるためには他の研究者も実施可能な方法とする必要があり、そのために所要時間短縮が必須であると考え、これまでの方法に修正を加えた。この方法を用いて新たなデータ収集を行うため、研究参加施設を選定し、倫理委員会による承認ならびに研究参加施設の承諾を得た。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

重度脳損傷児6例のデータ分析を継続し、The 13th world congress on Brain Injuryにおいて、「The significance of discussing caregivers’ experiences which were not treated enough in the medical situation due to their subjectivity: In the process of seeking how caregivers read severely brain injured children’s own will/thought(主観的すぎると医療現場で十分に取り扱われてこなかったケア提供者の経験をディスカッションすることの重要性:ケア提供者が重度脳損傷児自身の意思や考えを読み解く方法を探求する過程において)」というテーマで世界に発信した。この学会で世界の研究動向を把握し、看護学以外の学問領域と接続の可能性を再確認し、植物症と最小意識状態の誤診克服という重要課題に貢献し得る研究であるとの評価を得て、海外の意識障害研究チームと繋がることができた。また他の研究者が実践可能な方法とするために研究方法の修正を行い、倫理委員会の承認、研究実施施設の選定、研究参加施設の承諾を得た。
一方で新たなデータ収集開始が当初の予定より遅れたこと、研究方法に関する研究成果の発表に至ることができなかったことから、「やや遅れている」と判断した。

今後の研究の推進方策

これまでの小児専門病院、重症心身障害児施設での調査に加えて在宅で暮らす子どもたちの調査データを加え、分析することにより、重度脳損傷児の生活の場の違いも含めて考察し、重度脳損傷児の生活を支えるケア向上に繋がる新たな知見を得たい。
同時に他の研究者が実施可能となるように修正を加えた研究方法を試み、患児本人に確かめることが難しい事象、ケア提供者にとっても不確かさを含む経験に基づくデータを如何に収集し、分析し、提示すべきかをさらに探求する。
重度脳損傷児のケア場面の質的記述、重度脳損傷児の生活を支えるケア向上に繋がる研究方法、植物症と最小意識状態の誤診克服のための一方策を発信できるように取り組む。また論文掲載を目指す。

次年度使用額が生じた理由

2019年3月開催の国際学会(カナダ、トロントでの開催)参加のため概算で20万円の前倒し請求を行った。旅費金額確定が3月となったため、次年度使用額が生じてしまった。前倒し請求による次年度の予算額減については、研究者自らデータ入力を行うことにより、予定していたデータ入力委託費を削減し、旅費使用を控えること等により調整する。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] 0327 The Significance of Discussing Caregivers’ Experiences Which Were Not Treated Enough in the Medical Situation Due to Their Subjectivity: In the Process of Seeking How Caregivers Read Severely Brain Injured Children’s Own Will/Thought2019

    • 著者名/発表者名
      Naoko Kameda
    • 雑誌名

      Brain Injury

      巻: 33 ページ: 106

    • DOI

      10.1080/02699052.2019.1608749

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 特集 ケアの意味を見つめる事例研究─現場発看護学の構築に向けて 8.「ケアの意味を見つめる事例研究」の質評価の視点2018

    • 著者名/発表者名
      山本 則子、家髙 洋
    • 雑誌名

      看護研究

      巻: 51 ページ: 466~471

    • DOI

      10.11477/mf.1681201547

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 特集 ケアの意味を見つめる事例研究─現場発看護学の構築に向けて 7.「ケアの意味を見つめる事例研究」の学術性2018

    • 著者名/発表者名
      齋藤 凡、山本 則子、家髙 洋
    • 雑誌名

      看護研究

      巻: 51 ページ: 456~465

    • DOI

      10.11477/mf.1681201546

    • 査読あり
  • [学会発表] The significance of discussing caregivers’ experiences which were not treated enough in the medical situation due to their subjectivity: In the process of seeking how caregivers read severely brain injured children’s own will/thought2019

    • 著者名/発表者名
      Naoko KAMEDA, Tomomi IKEDA, Hiroshi IETAKA
    • 学会等名
      The 13th World Congress on Brain Injury
    • 国際学会

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公開日: 2019-12-27  

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