研究実績の概要 |
2020年度は,昨年度収集したデータ分析を行った。57訪問看護事業所を分析対象とした。調査項目は,Donabedianの医療の質評価モデル用いた「ストラクチャー」8項目,「プロセス」24項目,「アウトカム」10項目の合計42項目とした。項目分析で1項目削除した「ストラクチャー」,「プロセス」の31項目の探索因子分析(重みづけのない最小二乗法・プロマックス回転)を行った結果,5因子28項目が抽出され,〈子どもの成長・発達促進と生活を支える支援〉〈多職種・多機関との連携・協働〉〈安全なケアを行うための基盤整備〉〈円滑で切れ目のないケアの提供〉〈事業所の訪問体制整備〉と命名した。項目分析で1項目削除した「アウトカム」9項目の探索因子分析(重みづけのない最小二乗法・プロマックス回転)を行った結果,3因子7項目が抽出され,〈家族の生活状況変化〉〈家族の子どもへの対応能力変化〉〈子どもの安定した在宅生活継続の変化〉と命名した。「ストラクチャー」「プロセス」全体のCronbach'sα係数は0.929,「アウトカム」全体のCronbach'sα信頼係数は0.762であった。質評価モデルの構造的妥当性の検討を行うために共分散構造分析を行った結果,適合度指標は,χ2/df値1.41,GFI.897,AGFI.794,CFI.926,決定係数.14≦R2≦.68であった。本研究は,構成概念妥当性を検討するために探索的因子分析を行い,質評価モデルの構造的妥当性を検討するために共分散構造分析を行った結果,統計的妥当性も確認され, モデルの適合度指標も許容範囲であると判断した。また,信頼性も統計的に許容範囲であることが確認され,医療的ケア児と家族を支援する訪問看護のサービス質評価指標は,より良い支援ができるためのケア効果を客観的に評価できる指標として活用できることが示唆された。
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