当該研究は、軟骨無形成症を持つ児(者)の社会生活での自立の支援を促進するシステムを構築するために、成長・発達側面で遅れがでやすい未就学時期の児とその保護者を縦断的に観察することを目的として実施してきた。未就学児とその保護者との相互作用の経時的な観察およびインタビューを実施してきた。3年間の縦断的な調査によってNCAST(児ー保護者相互作用観察法)を用いた児と保護者のそれぞれの項目のスコアを鑑みた支援が有効である可能性が示唆された。それに伴い、就学前に保護者が抱く不安や困難についてもインタビュー調査を実施した。当該小児とその保護者が健全に生活するためには、医療関係者および教育関係者の理解が不可欠であり、依然として支援体制が不十分であることが明らかとなった。母子相互作用の参加観察研究のプロットを経時的に行うことで、成長発達の遅れを養育者が感じながらも、成長を実感することができていた。またその成長について他者と共有できるツールとして利用できる可能性が示唆されたことで、医療機関、幼稚園や保育園での支援に利用できると考えられた。妊娠期や出生後すぐは、育てられるのか、思い描いていた出産・育児との違いと向き合っていた。家族の支え、医療者の何気ないサポートや療育の職員からの支援が助けとなっていた。周囲の同じ年齢の子どもを持つ家族や、友人とは悩みを共有できないと感じているため、この時期にかかわる支援者の役割は子どもの発達を促進するには欠かせない。運動機能、言語、日常生活動作の自立は遅れるが、できるようになった時の喜びが大きいということから、発達課題の達成を実感できる支援が必要である。
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