研究課題/領域番号 |
17K12396
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
小野 光美 大分大学, 医学部, 准教授 (20364052)
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研究分担者 |
竹田 裕子 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 講師 (60598134)
原 祥子 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 教授 (90290494)
神田 秀幸 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 教授 (80294370)
森 万純 大分大学, 医学部, 助教 (60533099)
三重野 英子 大分大学, 医学部, 教授 (60209723)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | end-of-life care / 高齢者看護学 / 介護老人保健施設 / 地域包括ケアシステム |
研究実績の概要 |
本研究の最終目的は,地域包括ケアシステムおいて介護老人保健施設(以下,老健とする)を核として地域の中で最期までをその人らしく生き抜くことを支える看取りケアモデルの開発である。 昨年度に引き続き,今年度は3事例について検討を重ねた<研究課題1>。検討するにあたり,次の4点について意図的に振り返り,分析をした【1.高齢者本人と家族の状況を初回入所(サービス利用開始)から経時的に整理する,2.疾患や障害による身体の変化,ADLの変化をみる(変化をみながら,加齢による影響も分析),3.看取りの時期であると判断した状況・時期を捉える,4.高齢者本人や家族に対し誰がどのようなかかわりを行ったのか実際を整理する】。 3事例は80歳代~90歳代で,地域の中で(いつもの暮らしの中で)老健(通所リハ,ショートステイ,入所)を活用しながら生活をしていた。夫婦で生活していた事例もあったが,最期は全員が独り身であった。徐々に身体が衰えても,自宅で生活する可能性を多職種で検討し,帰るタイミングを探っていた。老いや疾患に対する体調管理,退所前訪問/退所後訪問により福祉用具・医療機器の導入や移動・排泄動作などの確認・練習,緊急時の連絡・対応方法の確認等を行い,本人・家族の心配事や困り事に対処していた。老健内での過ごし方は様々であり,誰とどのように過ごしていたのかは重要な視点であることを確認した。 1事例は,夜間の急変により病院で亡くなっており,看護職・介護職に後悔がみられた。①看護師の判断,②病院スタッフとのコミュニケーションの内容(本人の意思の反映,治療による回復の見通し等),③老健の受け入れ状況,④看取り後のカンファレンスの持ち方について,課題が見いだされた。 今後は,事例検討とアクション・リサーチを重ね,「高齢者の看取りケア指標」の要素を抽出し,指標の考案,調査に繋げる予定である<研究課題2>。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
事例検討を重ねることでケア内容の明確化ができ,「高齢者の看取りケア指標」考案に繋げることができている。
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今後の研究の推進方策 |
事例検討/アクション・リサーチを行いつつ,<研究課題2>である心地よさを基盤とした「高齢者の看取りケア指標」を考案する。
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次年度使用額が生じた理由 |
事例検討において,録音・テープ起こしをせずにフィールドノートで対応したため,テープ起こし代等が発生しなかった。また,フィールドに出向くための旅費の使用が少なかった。次年度は,引き続き事例検討およびアクション・リサーチを行っていくため,旅費やデータ収集にかかる物品費,テープ起こしやデータ整理のための人件費・謝金の使用が見込まれる。また,質問紙調査を行うための印刷や物品購入,送付に対する費用が発生する見込みである。
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