研究課題/領域番号 |
17K12398
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
堤 雅恵 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (80280212)
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研究分担者 |
野垣 宏 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (10218290)
末永 弘美 山口大学, 大学院医学系研究科, 助教 (10372707)
永田 千鶴 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (50299666)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 認知症 / アクティビティケア / 快刺激映像 / 自律神経活動 |
研究実績の概要 |
平成30年度は,大きく二つの研究活動に取り組んだ.一つ目は,本研究の中心的なデバイスである日立システムズ製疲労・ストレス測定システムを用いた調査であり,「山口ゆめ花博」に山口大学医学部・山口大学医学部附属病院と山口県造園建設協会とで共同出展した「健康の庭」を散策することの心身への影響を検討した.調査では,「健康の庭」を訪れた65歳以上の人のうち,現地でのリクルートに応じ,不整脈のなかった158人(71.2±4.9歳)を対象とし,問診,散策前後の脈拍,血圧,自律神経活動測定,散策後の気分などの主観的評価の聞き取りを行った.散策前後で,脈拍は76.1±12.9/分から73.9±11.8/分,収縮期血圧は142.5±24.4mmHgから139.4±24.1mmHg,拡張期血圧は83.7±12.0mmHgから81.5±11.9mmHgとなり,低下を認めた(p<0.01).また自律神経活動測定では,散策前にLF/HFが高値であった59人は散策後に下がり,低値であった57人は上がって(p<0.01),基準値に近づいていた.散策後の気分は,74人が「とても」,84人が「まあまあ」気持ちがよかったと回答した.これらの結果から,「健康の庭」の散策は,心身に好影響を及ぼしたと考えられた.この結果は,第124回山口大学医学会学術集会で発表し,現在,投稿準備中である.なお,この調査では,ホルター心電計とGPSを併用した観察地点と自律神経活動との関係の検討も行っており,現在,データの分析中である.二つ目は,グループホームでの調査準備であり,研究計画を倫理審査委員会に申請し,平成30年度末に承認を得た.この調査は,認知症高齢者と介護者の両方が快刺激映像によってリラクセーション効果を得ることを目指しており,研究協力者である認知症看護認定看護師とともに実施計画の詳細検討を行っているところである.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
介入研究であるために倫理審査に時間を要し,グループホームでの調査を当初予定していた年度末に実施できず,この調査を令和元年7月~9月に実施することにしたため.
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今後の研究の推進方策 |
グループホームでの調査結果は,終了後すみやかに分析し,年度内に論文を投稿する.同時に当初からの予定であった認知症カフェでの調査の準備にとりかかり,準実験的なアプローチが可能な環境が整い次第,実施する.
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