研究課題/領域番号 |
17K12398
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
堤 雅恵 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (80280212)
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研究分担者 |
野垣 宏 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (10218290)
末永 弘美 山口大学, 大学院医学系研究科, 講師 (10372707)
永田 千鶴 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (50299666)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 認知症 / アクティビティケア / 快刺激映像 / 自律神経活動 |
研究実績の概要 |
2019年度は,①前年度の調査結果を投稿するとともに,②グループホームでの調査を実施した.①については,「山口ゆめ花博」に出展された「健康の庭」を散策した65歳以上の人を対象にして散策前後の生体反応を比較した結果,心身への好影響が認められた.とくに,本研究の中心的なデバイスである日立システムズ製疲労・ストレス測定システムを用いて調べた自律神経バランス(低周波成分・高周波成分比:Low Frequency/High Frequency LF/HF)では,散策前に高値であり緊張の強かった59人は散策後に低下し,低値であり休息状態にあった57人は上昇して基準値に近づいていたことは興味深い結果であった.この結果は,個人のその時の状態に応じて自然に自律神経バランスのとれた状態に近づく可能性があるとともに,自分のペースでの散策や定点での鑑賞といった介入方法が,移動に支障のある高齢者に適していることを示しており,快刺激映像の効果を検証するにあたって有用な成果となった.この結果は2020年4月に,日本老年医学会雑誌に掲載された.なお,この研究と同時に実施した,観察地点と自律神経活動との関係の検討結果は,第68回日本医学検査学会で発表し,現在,投稿中である. ②グループホームでの調査は,グループホームAに入居していた18人の利用者のうち,65歳以上で,著明な不整脈や座位保持困難がみられず,視聴覚異常による映像視聴への支障がなかった12人および同数の介護職員12人を対象とし,昭和時代の生活や遊びの様子を回想する20分間の快刺激映像を用いて実施した.調査の結果,認知症を有していても,映像の開始から終了まで集中して視聴し続け,また,介護職員も利用者とともに映像を楽しむことができ,新たな形の静的・受動的アクティビティケアの可能性が示唆された.この結果は現在,投稿準備中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
論文投稿のためのデータ解析に緻密な作業と時間を要し,また,グループホームでの調査は介入研究であるために倫理審査に時間がかかり,当初の予定を遅らせて実施したため.
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今後の研究の推進方策 |
作成中の論文を速やかに投稿する.
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次年度使用額が生じた理由 |
データの精緻な検討が必要となったため.
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