研究課題/領域番号 |
17K12399
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
陶山 啓子 愛媛大学, 医学系研究科, 教授 (50214713)
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研究分担者 |
田中 久美子 愛媛大学, 医学系研究科, 准教授 (00342296)
中村 五月 (形上五月) 聖カタリナ大学, 人間健康福祉学部, 講師 (40549317)
小岡 亜希子 愛媛大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50444758)
藤井 晶子 愛媛大学, 医学系研究科, 助教 (00805624)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 排泄ケア / 高齢者 / 気づき / 教育プログラム |
研究実績の概要 |
本研究は、看護・介護職が高齢者の潜在する排泄機能に気づき、排泄ケアに積極的な態度を形成するために、①事例を通して知識を習得する教材を用いた研修を行い、その後、②継続した事例検討会でフォローアップする教育プログラムを開発する。教育プログラムの前後で、介護・看護職の排泄ケアに関する知識と態度を評価し、プログラムの効果を明らかにする予定である。 本年度は、評価指標となる態度・知識の測定項目を作成するために文献検討を行った。国内の先行研究において、排泄ケアに関する知識や態度に関する論文は見当たらず、海外文献の検討を行った。Henderson JS(2000)は、排泄ケアの実践に最も影響したのは看護師の態度であり、さらに態度の変化には知識が関連していることも明らかにしている。排泄に関する態度として、Henderson JS(2000)らの態度に関する質問項目と態度の心理学的概念も参考に「高齢者の排泄ケアの実施がもたらす結果への見込みと排泄ケアや高齢者の排泄行動に対する価値判断や評価」と定義し、独自の項目作成に取り組んだ。さらに知識に関しては文献検討の結果、本研究の目的に即した項目に絞る必要があると考えた。作成する教育プログラムがアセスメントに基づく個別ケアを目指すものであるため、排泄のアセスメント関する知識に焦点を当てた項目で構成し、作成過程である。態度・知識に関する評価項目は、現在、排尿に関する項目が作成できている。今後、排便に関する項目を追加する予定である。 また、教育プログラムの効果として、排泄ケア実践の変化を測定する必要性もあると考え、排泄ケアを「排泄障害の原因について個別的にアセスメントを行い、排泄障害の改善、可能な限りの排泄行動の自立、そして快適で尊厳のある排泄が実施できることを目指したケア」と定義し、評価項目を作成中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、教育プログラムの効果として形成される態度や知識を明らかにすることを目標に取り組んだ。文献検討により、本研究の目的にあったアセスメントに必要な知識と高齢者の排泄援助に対する積極的な態度に関する項目はほぼ完成することができた。排便に関する項目を追加する予定で現在も検討中である。評価項目の検討過程で、プログラムの効果指標として、態度・知識だけではなく、排泄ケアの実践への効果も測定する必要性があると考えて、評価項目を作成しているが、これに関しても必要性も含めて検討中であるため「やや遅れている」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
評価指標の作成過程ではあるが、今後、教育プログラムの作成にも取りかかる。まず、教材として用いるマニュアルを作成する。本年度の排泄研究会に持ち込まれた症例から、実際に現場で対応に苦慮している症状を抽出しマニュアルに掲載する内容を決定する。排泄ケアマニュアルの作成にあたっては、基礎知識の部分と後半の事例集が一貫性のあるものになるよう枠組みを作成したのちに、研究者で分担して執筆する。さらに、泌尿器科医等の専門家からも助言を受けて作成する。マニュアルの完成と同時に事例検討会の方法、使用する排尿日誌などの様式を作成する。 教育プログラムの作成後、再度、評価指標との整合性を検討し、効果指標を完成させ、プログラムの実施に取りかかれるように準備を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度、インタビュー調査を予定していたが、文献検討によりインタビュー調査の目的を見直す必要が生じ、調査の実施を延期することとしたため。また、次年度以降に、教育プログラムを開始する際には必ず必要となるノートパソコンの購入を、次年度に持ち越して実施する。
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