研究課題/領域番号 |
17K12401
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
谷向 知 愛媛大学, 医学系研究科, 教授 (90361336)
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研究分担者 |
柴 珠実 愛媛大学, 医学系研究科, 講師 (60382397)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 認知症 / 同意・意思決定能力 / 判定 |
研究実績の概要 |
医療・福祉現場における同意能力をどのように判定しているのかの現状を把握し、実態調査調査を行う目的で、認知症看護認定看護師(DCN)、認知症ケア専門士(専門士)、介護支援相談員等を対象に、現場ではどのように自己決定支援を行っているのかの情報収集を行った。 前年度のDCNと専門士、介護支援相談員へのプレリミナルな聞き取りをもととに、簡易な質問紙を作成し、DCNと専門士を対象に、本質問紙作成を目的に予備調査を実施した。 調査項目としては、①見当識の有無についての判断、②手術を拒否する認知症患者の判断能力に関する内容、③意思決定能力の有無の判断に際し重視するものについて回答の協力を求め、66名のDCNと49名の専門士の協力を得た。 認知機能検査において見当識の項目で失点がみられる場合に見当識障害「なし」と判断する割合はDCNで55%、後者で専門士では45%であった。一方、見当識で失点のみられる認知症の人が、検査以外の普段のかかわりの中で。自然と対応者の職種や個人名を呼んだりした場合、認知機能検査で見当識の項目で失点があり、見当識が「ない」と回答したDCNの75%、専門士の69%が見当識は「あり」(保たれている)に変化がみられた。 手術を拒む認知症の人を想定した設問では、たとえ本人が手術を拒んでいてもDCNの82%、専門士の86%が、認知症本人の判断/意思決定能力は「ある」と回答がみられた。しかし、現場において誰の意向を尊重するかということに関して、本人と回答したのはDCNで67%、専門職で61%と、本人の意向が最も尊重されてはいたが、本人の能力の有無と比べると、家人や専門職の意見を参考に判断されている現状が垣間見られた。意思決定能力の有無についてBPSDも判定の参考にするのは、DCNで18%、専門士で31%と職種間での違いがみられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度おこなった認知症看護認定看護師、認知症ケア専門士、介護支援相談員に行ったプレリミナリーの調査を参考に、医療・福祉現場において何を基準に認知症の人の意思決定能力の有無を、それぞれの職種が判断しているかについて、本調査の質問紙を作成するための前段階として、予備質問紙を作成し、認知症看護認定看護師66名と認知症ケア専門士49名から回答を得るとともに、ペイパーペーシェントについての項目についての意見をいただいた。 職種間で、意思決定にかかわる事由が異なることや、一方通行式のペイパーペーシェントの状況設定や情報提供では限界があるが、できる限り現場に近い設定と新たな視点を盛り込むために、質問紙の作成に手間取っており、やや遅れた状態にある。 今年度は、研究協力の予備調査を行う際などに、本調査についての説明をおこない、協力体制は整いつつある。
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今後の研究の推進方策 |
本調査用紙が確定次第、倫理員会の申請を行い、承認後、質問紙の配布をを行う。そこで得られた結果をもとに認知症の人を対象とした判断能力に特化した簡易な鑑別シートを作成するとともに、本調査の中の結果を迅速に集計・分析を加え、意見交換、学会報告、投稿を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度計画していたしていた質問紙等の印刷および郵送代を、次年度に持ち越すことになった。また、データ入力のために協力いただくための人件費が必要。また、情報交換や情報発信のための会の開催や旅費等に使用する。
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