研究課題/領域番号 |
17K12401
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
谷向 知 愛媛大学, 医学系研究科, 教授 (90361336)
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研究分担者 |
柴 珠実 愛媛大学, 医学系研究科, 講師 (60382397)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 認知症 / 判断能力 / 意思決定 |
研究実績の概要 |
前年度までに医療・福祉現場で実際に認知症の方とかかわを持つ機会が多い専門職(認知症看護認定看護師、認知症ケア専門士、介護支援相談員など)を対象に調査を行った結果を踏まえ、認知症についての意思決定に関する質問項目を整理し、暫定版を作成した。その暫定版を用いて、認知症の財産管理などで後見、保佐、補助を受けることが多い司法書士を対象に、認知症の意思決定能力の判定についてどのような所に重きを置いているのか調査を行った。 実際に対象者は専門医などが行った診断書(鑑定書)により司法が裁定を行うものであるが、財産管理を主に行う司法書士では、理解力や判断力、言語能力を重視する医療、介護・福祉専門職に行ったプレリミナリーの結果とは異なり、複数回答で見当識能力(46%)、記憶(43%)、日常生生活動作(36%)が上位を占める結果であった。また、自分自身を理解していることが重要であるとの回答はほとんどみられなかった(3.5%)。それぞれの司法書士で認知症の理解度などはさまざまであるが、司法書士としての経験年数やこれまで後見など引き受けた件数との関連はみられなかった。 前年度と今年度との結果の違いは、単に認知症に対する知識量(学ぶ機会の多い少ない)や職種による違いだけではなく、実際にかかわる機会の多い事例の内容に大きく白湯されている可能性が大きいと推察される。この点も考慮しながら、調査項目、場面設定を複数設け、総合的に認知症の方の同意・判断能力について、職種を越えた共有できる目安を確立するための検証が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
医療職や介護・福祉職と司法書士とでは判断する基準が異なっていた。これまでに想定した意思決定は医療行為、日常生活場面であったが、後見人等を請け負う司法書士では、主に第三者として財産管理を行っているため、単なり職種の違いではなく、取り扱う事案が違う可能性が考えられるため、財産管理に関する項目も検討する必要があると考え、調査票の修正を行っているため遅延が生じた。
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今後の研究の推進方策 |
治療、生活場面、財産管理についての項目を盛り込んだ調査票を完成させ、認知症看護認定看護師、認知症ケア専門士などに最終調査を実施する。 いずれの対象者にも調査協力についての打ち合わせは行っている。 司法書士に関しては、調査とともに認知症の理解に関する研修会で講演を行い、その時の収録された講義が研修会で使用されているため、研究者のバイアスがかかる恐れがあるため実施については検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
調査票に修正を加わえ、最終版に至らず、研究全体が遅れ、本格的な調査が行えなかったことで次年度使用額が生じた。 調査の実施と検討会、その報告のために生じた研究費を使用する。
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