研究課題/領域番号 |
17K12401
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
谷向 知 愛媛大学, 医学系研究科, 教授 (90361336)
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研究分担者 |
柴 珠実 愛媛大学, 医学系研究科, 講師 (60382397)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 認知症 / 判断能力 / 意思決定 |
研究実績の概要 |
一昨年度までに医療・福祉現場で実際に認知症の方とかかわりを持つ機会が多い専門職(認知症看護認定看護師、認知症ケア専門士、介護支援相談員など)を対象に、また昨年度には、認知症の財産管理などで後見、保佐、補助を受けることが多い司法書士を対象に、認知症の意思決定能力の判定についてどのような所に重きを置いているのか調査を行った。 その調査を行った結果を踏まえ、認知症についての意思決定に関する質問項目を再度整理し、厚生労働省が平成30年6月に作成された「認知症の人の日常生活・社会生活における 意思決定支援ガイドライン」、令和元年6月に発表された「認知症施策推進大綱」等を参考に、認知症の認知症の同意・判断能力(意思決定能力)についての調査票を完成した。 実際にこの調査票をもちいて調査を進める前に、何人かの認知症当事者たちに、日常生活において「自分の考えや思いが尊重されているのか」「日常生活を送るうえで大切にしたいこと」等について、オンラインで複数回ディスカンションする機会を設けた。認知症の人たちが望むのは、特別なことではなく「これまでの生活の継続」ということをいい、異口同音に、「自分たちの話をきいてくれていない」「言葉が出るまで時間をかけて待ってほしい」といったことを語った。 従来の意思決定支援については、「支援」という言葉から、治療の選択、財産管理などについて、比較的認知症が進行している人たちが対象となり、専門職を中心に展開されてきた。しかし、認知症の人の思いをどのように引き出すことができるかという視点も支援者には必要であると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまで医療・福祉現場で実際に認知症の方とかかわりを持つ機会が多い専門職(認知症看護認定看護師、認知症ケア専門士、介護支援相談員など)、また認知症の財産管理などで後見、保佐、補助を依頼される機会の多い司法書士を対象に、認知症の意思決定能力の判定についてどのような所に重きを置いているのか調査を行い調査票の作成を行った。 その後、何人かの認知症当事者たちに意見を伺ったところ、支援の対象としていることが治療の選択/決定、財産管理など大きな問題に重きがおかれているが、もう少し日常生活の延長線にある意思決定についても検討する必要があると考え、修正が必要であると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの医療、福祉現場、また財産管理などを行う司法書士を対象に行った予備調査をもとに調査票の作成を行った。この調査票は、重篤な治療の選択・決定や財産管理など大きな事案を想定していた。しかし、ただ、認知症の当事者たちからのご意見から、認知症支援が軽度の人たちにおいても、当事者たちは自分たちの意思が十分に反映されていないという認識がみられた。そのため、評価者だけでなく認知症当事者の視点を加味して、調査票を修正を行うこととした。そのため遅延が生じた。
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次年度使用額が生じた理由 |
治療、生活場面、財産管理に関する調査票に、本人視点を加味した調査票を完成させる。 その調査票を、認知症看護認定看護師、認知症ケア専門士を対象に最終調査を実施する。 対象者の選定、調査協力に関する打ち合わせはできている。司法書士に関しては、コロナ禍で一方向のリモートの研修会では理解促進が困難であり、認知症の経験もまちまちであり、実施は見合わせる。 研究費は、調査実施のための印刷、通信、会の開催のために使用する。
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