研究課題/領域番号 |
17K12401
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
谷向 知 愛媛大学, 医学系研究科, 教授 (90361336)
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研究分担者 |
柴 珠実 愛媛大学, 医学系研究科, 講師 (60382397)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 認知症 / 意思決定 / ワクチン接種 / 判断能力 |
研究実績の概要 |
一昨年度までに医療・福祉現場で実際に認知症の方とかかわりをもつ機会が多い専門職(認知症看護認定看護師、認知症ケア専門士、介護支援相談員など)と認知症の方の財産管理などで後見・保佐・補助を受けることが多い司法書士を対象にした調査を行い、本調査のための調査票を準備してきた。 昨年度は、新型コロナ感染の終息がみられず、感染・重症化予防のためにワクチン接種が行われた。ワクチン接種をめぐっては、体質的に接種ができない人、接種を拒む人の問題が浮上した。重症化リスクの高齢者、特に施設入所や通所型サービスを利用し、そこで集団で飲食を共にする認知症に人にとって、ワクチン接種は必須のように思われる。しかし、実際に健常者に対して行われているような説明や、接種への意思確認がどのようにされたのか疑問が生じた。そこで、ワクチン接種を行うにあったって認知症高齢者の意思確認が行われたのかを追加で調査した。 専門職80名にアンケーを実施し、介護職(48%)、介護支援相談員(21%)、ほか看護師、医師などを含む63名から回答を得た。ワクチン接種について意思決定が「十分に行われた」は16%で、「十分には行われなかった」24%を下回った。また、家族の同意によるものが59%で、本人から同意を取得した28%をおおいに上回った。また、専門職の87%が本人の同意が困難な場合、第三者の同意で摂取することは「仕方がない」と回答した。 このプレリミナリーの結果も考慮して、調査票の修正を行い、本調査を実施していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまで医療・福祉現場で実際に認知症の方とかかわりを持つ機会が多い専門職(認知症看護認定看護師、認知症ケア専門士、介護支援相談員など)、また認知 症の財産管理などで後見、保佐、補助を依頼される機会の多い司法書士を対象に、さらに認知症当事者の意見をうかがいながら調査票の修正を行ってきた。 さらに、新型コロナ感染症のワクチン接種に際し、認知症、特に認知症高齢者に対して接種ありきで、意思確認やその能力について検討されたのか検討する必要があると判断し、追加調査を行ったため、遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
これまで実施したプレリミナリーの調査をもとに、最終版の調査票の再確認を行い、数名の認知症当事者にも確認していただいたうえで調査を実施する。 調査の協力については、すでにお願いしているが、実施の時期が遅れているため再度確認する。
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次年度使用額が生じた理由 |
調査票に修正を加えていたために、印刷、通信費が生じていない。 認知症看護認定看護師、認知症ケア専門士、介護支援相談員など研究協力との事前の打ち合わせは概ね整っている。 研究費は、調査実施のための印刷、通信、会の開催、人権費に使用する。
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