研究課題/領域番号 |
17K12403
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
室屋 和子 佐賀大学, 医学部, 准教授 (50299640)
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研究分担者 |
熊谷 有記 佐賀大学, 医学部, 准教授 (10382433)
田島 司 北九州市立大学, 文学部, 教授 (40364145)
田渕 康子 佐賀大学, 医学部, 教授 (90382431)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 喪失 / 役割 / 対人交流 / 対処 |
研究実績の概要 |
配偶者との死別体験は最もストレスフルであるといわれる。特に老年期では、身体的健康や社会的役割の喪失に加え、配偶者が死亡した場合は死別後の生活に適応する事が困難である。本研究は男性高齢者の配偶者死別後の心理的回復と対処行動について明らかにすることを目的とした。これにより配偶者死別後も高齢者がその潜在能力を活かし、社会生活へと適応するための示唆を得ることができると考える。 昨年度に引き続き、対象者を増やして大分県、京都府で死別後の男性高齢者へのインタビュー調査を行った。データは質的記述的研究の手法を用いて分析した。京都での調査対象者は認知症の配偶者を介護した経験を持つ男性2名である。代理決定者として終末期の医療処置の判断にまつわる苦悩や、配偶者存命中の支えとなった家族会への関わり方の戸惑いなどの心理が語られていた。しかしながら喪失に伴う寂寥感を持ちながらも介護を終えた達成感を持ち、楽しみを見つけ、家族会での役割を持つことで、配偶者死別後の生活へ対処していることが明らかになった。この結果は、日本看護研究学第23回九州・沖縄地方会学術集会で示説発表し、研究対象者へ成果報告を行った。大分県でのデータは分析中である。 男性との比較対象として昨年度調査した高齢女性3名の結果を、同じく質的記述的研究の手法を用いて分析しまとめた。女性は、周囲の人の優しさ・思いやりを受け取りながら“夫婦中心の生活から周囲の人たちへの結びつきへと変えていく”といった対人交流を基盤として新たなネットワークを構築するという対処行動がみられた。この結果は、2019年8月開催の日本看護研究学会第45回学術集会で発表を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
対象者のインタビュー協力希望時期を配慮して、追加インタビュー時期を調整したことにより、分析や成果発表が30年度後半となっており計画遂行が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでのインタビューデータの質的分析の精度を高める。また、質問紙調査に向けて調査項目の精選や調査対象のリクルートなどを実行する。
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次年度使用額が生じた理由 |
30年度は研究対象を増やしインタビュー調査や学会発表を行ったため、それに伴う旅費が主な支出となった。本調査が遅れているため、31年度は調査に向けての会議の開催・調査に伴う費用が必要である。また、最終年度であるため3年間の成果発表のための物品費、人件費および旅費に助成金を使用したい。
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