研究課題/領域番号 |
17K12403
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
室屋 和子 佐賀大学, 医学部, 准教授 (50299640)
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研究分担者 |
熊谷 有記 佐賀大学, 医学部, 准教授 (10382433)
田島 司 北九州市立大学, 文学部, 教授 (40364145)
田渕 康子 佐賀大学, 医学部, 教授 (90382431)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 死別 / 男性高齢者 / 心理過程 / 対処行動 / 役割 / 適応 |
研究実績の概要 |
老年期は様々な喪失を体験するが、中でも配偶者との死別は最もストレスフルな喪失体験と言える。本研究は、配偶者死別後の男性高齢者が喪失による悲嘆から心理的に回復し、妻の死を乗り越え、故人なしの生活に適応するための支援について明らかにするものである。 2019年度は、2018年度に行ったインタビュー調査を質的帰納的に分析した。その結果、死別後10年経過しても配偶者の死に関する自分自身の行動に後悔の念をいだき、死別の現実から目を逸らす事で自分の気持ちを保とうとしている事が分かった。そして、生活の中の楽しみや社会的役割を果たす事で故人なしの生活に適応しようとしていた。このことから、2017年、2018年の研究結果に加え、あらたに時間の経過が必ずしも悲しみを癒すものではない事が明らかとなり、配偶者死別後の男性高齢者の支援には、死別後の心理過程や対処行動の個人差を踏まえる重要性が示唆された。この結果は、2020年3月開催のThe 6th International Nursing Research Conference of World Academy of Nursing Science,2020で発表した。 さらに男性の特徴を明らかにするために、比較として2018年に調査した女性高齢者のインタビュー結果も質的帰納的に分析した。この結果は、日本看護研究学会第45回学術集会で発表した。 2017年、2018年、2019年の3年間で調査した質的研究の結果をもとに、量的研究のための準備として、質問票の作成と研究協力施設の承諾および研究対象者への研究依頼を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2019年はインタビュー調査による質的研究の結果を踏まえ、質問紙調査による量的研究を実施する予定であり、質問紙票の作成や開発者からの尺度使用許可を得るなどの準備は終了したが、研究協力施設との打ち合わせや研究対象者への研究依頼に留まっている。現在、研究代表者の所属機関の倫理委員会の承認、研究協力施設責任者による研究協力の承諾および研究対象者からの同意を得ているが、新型コロナウイルス感染による行動自粛により調査を延期している状態である。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染による社会情勢を見極めて、フィールド調査が可能になれば、直ちに同意が得られている対象への質問紙調査を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度助成金で予定していた佐賀県でのアンケート調査が研究協力者との打ち合わせや研究対象者への説明と同意までに留まり調査の実施が2020年となったため、2020年に調査費用および成果発表費用として使用する。
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