研究課題/領域番号 |
17K12413
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研究機関 | 札幌保健医療大学 |
研究代表者 |
長内 さゆり 札幌保健医療大学, 保健医療学部, 准教授 (80783555)
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研究分担者 |
村松 真澄 札幌市立大学, 看護学部, 准教授 (50452991)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ケアの質 / ホームホスピス / デンマークの介護 / ペタゴギック / 在宅ケア |
研究実績の概要 |
9月にデンマークを訪問し「ペタゴギック」について講義を受講した。さらに老人ホーム、在宅看護クリニック、保育園等を視察した。ペタゴギックとは個々の人間性・個性を見抜いて対応する究極の個別ケア技術であり、デンマークでは子供が生まれたときから個性を大事にした関わりを実践し、この手法は認知症の個別ケアにも有効であり、老人ホームでも実践されている。そのペタゴギックを実践している現場を視察し、体感し学びを深めた。社会保障制度が日本とは異なるため、日本に当てはめて適応・実践することは困難であるが、日本でも実現可能な部分を取り入れることが可能であると思われた。視察後、A地域において、認知症ケアに携わっている医師・看護師・介護職等を対象にデンマーク視察報告会を開催した。プレゼンテーションや質疑応答する中で、デンマークのベタゴギックについての気づき等で学びを深め、参加者にも興味を持ってもらうことができた。 次に、国内でホームホスピスを展開してる全国ホームホスピス協会の研修会に参加し、ホームホスピスの理念、実践例を聞くことができた。同時に宮崎、熊本、福岡の3ヵ所のホームホスピスを視察し、さらにそこで働くケアスタッフと管理者を対象にインタビューを行った。インタビューでは、入居者の各々の個性を見極めたケアに取り組んでおり、3ヵ所とも共通点があった。 現在、ホームホスピス(施設)の視察およびインタビューでデータを収集している段階である。 ケアに向き合う姿勢、信念(哲学)、介護技術等に学ぶところが多く、小規模ケアホームにおいてケアの質が担保されるために一般化することには重要であり、意義がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
予定通りに視察、インタビューでデータを60%収集している。収集したデータ分析にまで至っておらず、若干の遅れがある。 平成29年度のインタビューデータの最終収集が2月の後半であったため、29年度中に分析まで至ることが困難であった。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度もホームホスピスの視察・インタビューを2~3ヵ所を予定している。各々のホームホスピス(施設)ごとデータ分析を行い、統合し、質的帰納的分析で、ケアの共通点を抽出する。その後、ケア実践介入の準備をA地域から協力していただける施設とともに行う。 パイロットスタディとして強力していただける施設において、ホームホスピスの共通点をもとにケア計画を作成し、実践を行う予定である。実践した内容と結果の評価から実践可能なケアを提案し、研究者および施設スタッフ等と対応方法について端的に文章に表現する。データ分析および評価では、大学の教員や訪問看護ステーションの看護師等の協力を得る予定。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度に予定していたデンマーク視察・研修と国内のホームホスピス3ヵ所の視察・インタビューにおけるデータ収集を行ったが、ホームホスピス3ヵ所のうち2ヵ所は日程の関係で研究代表者のみであったため、1人分の旅費2ヵ所分に余剰を生じた。また物品もPC2台分としていたが、1台のみとしたため余剰を生じた。 平成30年度は、ホームホスピスの視察を2~3ヵ所予定し、データ収集と分析を進め、カテゴリー化を繰り返し抽象度をあげ、「ケアの本質」を抽出する。ホームホスピス(関西および関東)への旅費およびインタビューアへの謝礼が発生する。さらにデンマークから講師を招き、A市内で認知症ケアに携わっている医療・介護従事者や当事者ケアに当たっている市民を対象に講演会を予定しており、講演料と旅費(国内分)および、講演会の広告料が発生する。 その後、協力していただけるケアホームと協働で抽出した「ケアの本質」をもとにパイロットスタディの準備を始める。協力していただける、施設とスタッフおよび他協力してもらえる大学の教員および訪問看護師を募る。協力施設への研修費およびスタッフ等への人件費が発生する。 その他、昨年と同様、在宅医療・看護関係、老年看護・認知症ケア関係等の学会参加および必要な物品費が発生する予定。
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