転倒予防は超高齢化社会における最重要課題である。本研究は転倒予防筋力トレーニングスリッパ(以下、転倒予防スリッパ)を用いて要支援状態にある高齢者への転倒予防介入を行い、転倒予防スリッパの有用性を実証することを目的とする。 私共は普通のスリッパのつま先の上に重りがついた転倒予防スリッパを開発した。スリッパのつま先の重りの重さは400g、300g、200g、と個人に合わせて調節ができるテーラーメイドとする。転倒予防スリッパを使用し転倒予防をすることで、要支援者は転倒や歩行困難性が回避され、歩行、IADL、認知機能まで幅広く生活の質が高められ、転倒による介護に関わる費用の減少が期待できる。 我々は平成29年12月から現在までの期間、介護予防教室に通所している41名の要支援者を対象に介入研究を行っている。平成30年3月時点の介入群は21名(男性2名、女性19名)、コントロール群20名(男性3名、女性17名)であり、平均年齢はそれぞれ84.6±6.9歳、84.9±8.1歳である。介入群は週に2から3回転倒予防スリッパを使用したトレーニングを行っている。 転倒リスクスケールはBerg Balance ScaleとTinetti's Performance-Oriented Mobility Assessment(POMAテスト)を用いた。介入前のBerg Balance Scaleは介入群が41.6±8.9点、コントロール群が40.4±11.1点であり、3か月経過した時点のBerg Balance Scaleは介入群が43.9±9.4点、コントロール群が40.3±11.1点であった。また、POMAテストでは介入群は24.6±4.0点、コントロール群は24.8±5.9点、3か月経過した時点では24.7±3.8点、コントロール群は24.3±5.0点であった。今後は介入6か月後、9か月後、12か月後において同様の評価をする。また、人数の増加を図る。今年度は介護予防教室を開き、フレイル、プレフレイル状態と食品材料摂取頻度の関連も検討する。
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