研究課題/領域番号 |
17K12424
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研究機関 | 聖路加国際大学 |
研究代表者 |
川上 千春 聖路加国際大学, 大学院看護学研究科, 准教授 (70643229)
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研究分担者 |
山本 由子 武蔵野大学, 人間科学部, 准教授 (00550766)
亀井 智子 聖路加国際大学, 大学院看護学研究科, 教授 (80238443)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | せん妄予防 / 高齢者看護 / 看護学教育 |
研究実績の概要 |
初年度である平成29年度は、本研究の目的に基づき、以下の3点について計画を立案した。①せん妄等を予防するプログラム(日本版HELP)内容の有効性評価、②看護教員と病院スタッフの相互作用により生じる効果の明確化、③老年看護学教育へのHELP活用方法の検討である。 ①については、HELPに参加同意の得られた65歳以上の高齢者から実施中の様子や満足感を評価し、プログラム内容の有効性を検討した。実施したプログラム内容は、「回想法」「アロマフットケア」「散歩」が多く実施された。実施中には対象者が生き生きと話す場面が観察され、「笑顔があった」(90.5%)、「注意散漫でなかった」(86.5%)と集中して楽しんでいる様子が示された。満足度は、平均8.6±1.6点で「楽しかった」「気持ちよかった」「次は食堂でお茶したい」等の感想があり、プログラムを通して対象者の精神活動が促進され、入院高齢者に快適さ、楽しさを提供でき、高い満足感が得られていると考えられた。 ②については、プログラム導入への期待度および運営上の課題となることについて、病院スタッフのアンケート調査からプログラム導入時、6か月後、9か月後の3時点における経時的変化について調査した。開始時は認知機能の低下の軽減を期待する者が多かったが、6か月後、9か月後ともに入院中のケアへの満足度に期待することへ変化しており、プログラム導入による高い評価をえていた。課題としては、スタッフとボランティア、コーディネーター間の情報共有・コミュニケーションについて更なる改善が必要であると考えられた。 ③については、学生にとっては高齢者との関りが肯定的な体験となっており、「人」を知ることについて基本的な術を修得しやすい機会となっていることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
定期的なプログラム実施、またプログラム提供をしたことによる看護学生側の学びのデータは蓄積されつつある。平成29年度の3つの目標と計画、研究実績概要からも考えると、おおむね順調に進んでいると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
看護学部および病院スタッフによる協働という部分からの実証は今後、連携システムを明示していく上で重要必須事項となる。しかしながら、スタッフおよび教員側へのフォーカスグループインタビューは実施出来ていない状況であるため、計画立案を再度検討していく必要がある。 また、プログラムがせん妄予防のプログラムであるため、ケアを受けた対象者がせん妄を発症せず、予防としての効果となっているのか今後も評価していく必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していたデータを入力し保存しておくためのPC、および周辺機器等の購入を未だ出来ていないため、次年度使用額が生じた。また、国際学会への参加等を予定しているため、翌年度分と合わせて使用する予定である。
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