本研究の目的は、入院高齢者のせん妄予防に効果があると言われているHospital Elder Life Program(HELP in SL)を導入し、その日本版HELPの有効性を評価すること、看護学教育へのHELP活用方法の検討、および院内システム構築のための最良の方策を明確化することであった。 2017年度~2019年度においてはデータを蓄積し、高齢者に適した満足度を高める治療的アクティビティは何かを検討した。満足度は非常に高い傾向にあるものの、Vitality Index (VI)によってプログラムの提供方法や入院高齢者の反応にも違いがあることがわかった。さらには入院高齢者のVIの高低差で学生の捉え方にはどのような特徴があるのかも検討したところ、学年によってもVIの差によっても捉え方が異なり、看護学教育における新たな知見を見出した。 2020年度はCOVID-19感染拡大の影響により、プログラム活動の実施を遂行することは不可能であり、データを積み上げることはできなかった。しかし、最終年度の目標と課題は、病院スタッフへのインタビュー調査を実施し、現場と教育の一体化した老年看護学教育の在り方、および院内システム化するための最良の方策を考えていくことであった。よって、プログラムコーディーネーターへのインタビュー調査を主に実施した。その結果、①HELP in SLを実施する際の対象者選定の基準と対象者へもたらすと考えられる成果、②スタッフにもたらされる期待、③コーディネーターにもたらされた成果、④今後のHELP in SLの在り方への課題、等が明確になり、最終年度の成果としてまとめた。
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