研究課題/領域番号 |
17K12427
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研究機関 | 関東学院大学 |
研究代表者 |
深谷 安子 関東学院大学, 看護学研究所, 客員研究員 (20238447)
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研究分担者 |
北村 隆憲 東海大学, 法学部, 教授 (00234279) [辞退]
川口 港 関東学院大学, 理工学部, 助手 (00773350)
留畑 寿美江 関東学院大学, 看護学部, 准教授 (40360995) [辞退]
佐藤 祐子 関東学院大学, 看護学部, 助教 (10285968) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | communication / NIRS / oxygenated hemoglobin / older adults / frontal lobe |
研究実績の概要 |
本研究は、ケア提供者-患者間になされるコミュニケーションを、看護や介護業務に関連するタスク指向コミュニケーションと日常会話 (生活世界コミュニケーション) の2タイプに分類し、コミュニケーションの種類と脳の活動性との関連を検討することを目的とした。 調査対象者は、神奈川県に居住する65歳以上の高齢者43人と19歳から24歳までの若年者24人が便宜的標本抽出で得られた。調査方法は、高齢者と若年者に対してNear-infrared spectroscopyを使用して、ベースライン時、タスク指向コミュニケーション時、生活世界コミュニケーション時の前頭野の酸素化ヘモグロビン(oxyHb)濃度の測定を実施した。 分析は、アーチフェクトの除去には、離散ウェーブレット変換(discrete wavelet transform)を適用し、ベースライン、タスク指向、生活世界コミュニケーション間の前頭葉の平均oxyHbの比較には対応のあるt検定を使用した。 結果は、生活世界コミュニケーション時平均oxyHbは、ベースライン時平均oxyHb及びタスク指向コミュニケーション時平均oxyHbよりも有意に高かった。この傾向は若年者と比べ高齢者の方がより顕著であった。生活世界コミュニケーション時はブローカ野の上部と前運動野に特に高い活動性が認められた。生活世界コミュニケ-ションが前頭野に高い賦活をもたらすとの本研究結果は、今後病院や施設における高齢者へのコミュニケーションのあり方の検討や改善に貢献する。本研究結果は国際誌より出版された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画よりやや遅れたが、研究目的にそった成果をあげることができた。
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今後の研究の推進方策 |
研究目的は達成できたが、一部分析が未実施のデータがある。今後、ベースライン時、タスク指向コミュニケーション時、生活世界コミュニケーション時の前頭野の部位別の比較検討を実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の研究目的はほぼ達成できたが、データには分析が未実施の内容が含まれる。今回前頭葉のoxyHbは16チャネルのNIRSを使用して測定したが、前頭葉の部位別のoxyHbの比較分析は高齢者の生活世界コミュニケーション時に限定して実施した。そのため、ベースライン時、タスク指向コミュニケーション時の前頭野の部位別の脳賦活の違いについての分析、若年者と高齢者の前頭葉の部位別のoxyHbの比較分析が未実施となっている。したがって今年度も分析を継続し、これらの分析結果の発表に向けた取り組みを行うための研究経費が必要である。
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