研究課題/領域番号 |
17K12429
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
平松 知子 金沢医科大学, 看護学部, 教授 (70228815)
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研究分担者 |
橋本 智江 金沢医科大学, 看護学部, 講師 (30515317)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 転倒予防 / 高齢者 / 歩行能力 / セルフケア |
研究実績の概要 |
高齢者の主要な転倒要因の1つである歩行能力の低下に対する維持改善策として、高齢者のセルフケア能力に着目し、高齢者主体の転倒予防プログラムの開発を進めている。プログラムは「可視化された歩行能力に関連する転倒リスクの自己管理」と「歩行能力を強化するセルフケア行動の実施」から成っている。2019年度は、2018年度に抽出した構成要素について、高齢者のフレイル予防事業(厚生労働省)、サルコペニア診療ガイドラインに基づいて修正を行った。さらに、文献検討からプログラムの実行可能性及び歩行能力と自己管理内容との関連の強さを検討した。結果として、「歩行能力に関連する転倒リスク」として、①歩行状態・歩行機能(歩行:速度・歩幅・足関節背屈角度、立位時の足底の接地状態、握力、前脛骨筋力、足指把持力、つまずき及び転倒経験、転倒恐怖)、②生活状況(包括的転倒評価ツール:Fall risk index)、③栄養状態(BMI、簡易栄養状態評価;MNA®)、を抽出した。「歩行能力を強化するセルフケア行動の実施」は、運動に加えて、高齢者の自律性を考慮して転倒リスクに応じた自発的対処行動の実践を追加した。運動とは、①下肢の速筋線維の萎縮を防ぐレジスタンス運動(スクワット、ヒールレイズ)、②バランス能力を高める運動(開眼片足立ち)、③足部機能を高める運動(足指じゃんけん、タオルギャザー、足部マッサージ)である。最後に、プログラムのプレテスト対象者の条件について文献検討を行い、地域在住の要支援・要介護状態にない65歳以上の女性とした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2019年度は、2018年度に引き続いてプログラム構成要素について、文献検討を中心に再検討を行い、プログラムの精度および実行可能性を高めた。「可視化された歩行能力に関連する転倒リスクの自己管理」の構成要素は、7カテゴリーから3カテゴリーに絞られた。「歩行能力を強化するセルフケア行動の実施」は、運動の種類を5項目から、エビデンスレベルが高く、実現可能な運動に直結した3項目とした。さらに、高齢者の自律性を考慮して転倒リスクに応じた自発的対処行動の実践を追加し、「可視化された歩行能力に関連する転倒リスクの自己管理」との関連を強化した。プログラムの見直しに時間を要したため、「歩行能力に関連する転倒リスク」の測定指標について、高齢者の負担を考慮し、安全、安楽、簡便、かつ精度の高い測定機器の検討が十分にできず、さらに、対象者の目途を立てるに至らず、プレテストによるプログラムの修正を行うことはできなかった。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は、「可視化された歩行能力に関連する転倒リスクの自己管理」における測定指標である足関節背屈角度及び前脛骨筋力について、安全、安楽、簡便、かつ精度の高い測定機器を決定する。また、栄養状態に関する項目について、2002年度改訂日本食品標準成分表に基づいて再検討する。次に、地域在住の要支援・要介護状態にない65歳以上の女性を対象に「可視化された歩行能力に関連する転倒リスクの自己管理」と「歩行能力を強化するセルフケア行動の実施」から成るプログラムのプレテストを実施し、プログラムの修正を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
プログラムの「可視化された歩行能力に関連する転倒リスクの自己管理」の指標として、足関節背屈角度及び前脛骨筋力を測定するための装置を購入予定であったが、安価で高性能の機種の選定に時間を要し、器機を購入できなかった。また、プログラムのプレテストとして、郵送法による無記名自記式調査を実施する予定であったが、プログラムの見直しに時間を要し、調査の実施に至ることができなかった。2020年度は、器機購入及び調査のための郵送料として使用する。
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