研究課題/領域番号 |
17K12431
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研究機関 | 大阪医科大学 |
研究代表者 |
久保田 正和 大阪医科大学, 看護学部, 准教授 (80452267)
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研究分担者 |
樋上 容子 大阪医科大学, 看護学部, 講師 (60706927)
上山 ゆりか 大阪医科大学, 看護学部, 助教 (20773154)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 認知リハビリテーション / 脳活動計測装置 / 看護ケア |
研究実績の概要 |
認知症治療ガイドラインの中で、非薬物療法は実施するよう推奨されてはいるが、科学的根拠が得られていないと明記されている。本研究で認知リハビリテーションと脳血流量データに相関が見られれば、重要なエビデンスの一つが付与されるといえる。今年度対象者には「通常行われている認知機能維持プログラム」を看護師の介入が「有る」条件と「無い」条件下で実施しながら、脳活動量計測装置(fNIRS) による脳血流量の計測を行った。 2019年2月までに計6名(男性3名、女性3名)の対象者で実施した。対象者は全員要支援認定者で、平均年齢78.2±4.4歳であった。Geriatric Depression Scale (GDS)は平均7.2±1.9、Mini-Mental State Examination (MMSE)は平均27.7±2.0点、Clinical Dementia Rate(CDR)では認知症無しが2名、認知症の疑いに該当した者が4名であった。対象者の内、A氏(70代男性)はGDS5点、MMSEは29点、CDRは0.5であった。認知機能維持のプログラムである計算問題、塗り絵、貼り絵、クロスワードパズルを、看護師の介入無し、もしくは有りで実施したときのfNIRSで得られた脳血流データを比較した。その結果、看護師の介入が無い時に比べて看護師の介入が有る時は、脳血流値の変動が拡大した。貼り絵では、介入無し:interquartile range (IQR)=0.34、介入有り:IQR=0.54であった。塗り絵では介入無し:IQR=0.18、介入有り:IQR=0.30であった。本結果より、看護師の介入は認知機能維持のリハビリプログラム実施時の脳血流に変動を与えることが示唆された。今後さらに症例を追加すると共に、全体の分析を進め研究成果をまとめていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
30年度は6名の高齢者を対象に認知リハビリテーションを実施し、脳血流量計測装置により、その効果を検証した。従来介護保険施設等で行われている認知リハビリテーション、昨年度効果を実証したIWATA式認知リハビリテーションを行い、かつ、看護師による介入の有無が脳活動量に影響を与えるかを検証した。その結果、看護師の介入がより認知リハビリテーションの効果を増幅させることが示唆された。30年度は看護師の介入の有無が脳活動量に変化を与えるかを検証することが主な目的であったため、本研究は現時点でおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後はそれぞれの認知症高齢者に合わせた認知リハビリテーションを選択、実践し、観察記録とfNIRSのデータを照合させ、様々な認知リハビリテーションの妥当性について計測し、個々に合った効果的な認知リハビリテーションを探索する。さらに引き続き、課題遂行中における、リハビリテーション実施者と対象者との関わり方がリハビリテーションの効果に与える影響についても症例数を増やして実施し、実施者との関わりが重要であることを明らかにしていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
30年度は大学および大学院教育dutyのため、予定していた学会参加などができず、次年度使用額が生じた。次年度は学会発表、雑誌の投稿を予定しており、研究成果の発信で研究費を使用する計画である。
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