研究課題/領域番号 |
17K12434
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研究機関 | 四條畷学園大学 |
研究代表者 |
記村 聡子 四條畷学園大学, 看護学部, 講師 (70454725)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | CBPR / アクションリサーチ / 地域連携研修 / エンパワーメント |
研究実績の概要 |
今年度は、アクションリサーチ:Community-Based Participatory Research(CBPR)を、中山間地域A町と、都市部B市の2か所で実施した。 中山間地域では、地域住民、病院看護管理職、セラピスト、特別養護老人ホーム看護師、研究者の計16名(メンバーの途中辞退により当初より人数減)で、地域連携研修プログラムの開発から、研修の実施・評価までを行った。プログラムは「コミュニティを学ぶ」「地域資源を学ぶ」「院内連携を学ぶ」で構成し、病院若手看護師7名を対象に実施した。プログラム評価は、①本プログラムをより効果的なものに改善・発展するための形成的評価、②プログラムのメリット・価値を評価する総括的評価、③アウトカム評価およびロッシの5段階評価を用いた総合的な評価の3側面から実施した。 また、CBPRのプロセスを、①「高齢者のその人らしい暮らし」に対する思いは変容するか、②地域包括ケアシステム構築の実現に向けて集団の意識やつながりは変容するかという2点に対して、参加者である看護管理職のエンパワーメントの視点から分析を行った。看護管理職は、住民や共に働く専門職との協働実践の中で、人々の暮らしを支える看護とは何かを問われ、自らに問い、表現を試みた。その豊かな臨床経験と看護への真摯な思いは、そこに関わる人々を巻き込み、意識変容をもたした。このような相互作用から得られた経験は、看護管理職のエンパワーメントを高め、病院看護の役割拡大に向けた活動へと進展する。 都市部B市では、地域包括支援センター保健師、訪問看護師、病院看護師、特別養護老人ホーム事務長、研究者の6名で地域の課題を明確にするための活動を行った。そして、メンバーと共に学会発表を行った(「看護師を対象とした地域連携研修デザインプロジェクト~CBPRの実践報告」第59回 日本社会医学会総会)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、地域住民と看護管理職、地域で活動する専門職、研究者が対話を重ねてデザインする「地域連携研修プログラム」及び、地域連携研修プログラムをデザインするプロセスそのものを成果物としている、兵庫県A町においては、地域連携研修プログラムの開発・実施・評価という一連の流れを通して得られたデータを2つの視点から分析を終えている。具体的には、第1の分析は、アウトカム評価として協働してデザインした地域連携研修の評価、第2の日分析としてプロセス評価は、2つの問いを掲げて個並びに集団(コミュニティ)の分析である。 都市部B市の活動については、地域連携における課題を明確にするための活動を行い、課題を共有することが出来た。現在は、そのデータの整理を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
2地区の活動を分析するとともに、2地区の比較から、①当該研究領域に関するCBPRの課題の明確化、②地域連携研修プログラムデザインにおけるCBPRの有用性を明らかにすることを試みる。 また、この2地域での比較を行いながら、「地域における協働・連携活動におけるリーダーシップ」についての概念整理を行う予定にしている。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度は、アクションリサーチの実施を主とした活動を行った。今年度は、研究成果の報告会および、有識者会議の開催を予定しており、その費用に充てる。
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