研究課題
LCRメータを用いた前腕のテープストリッピングで作成した発赤を用いた学内実験で、インピーダンスが減少することを確認した。A大学病院で骨突出部位に発赤が発生した入院患者4名のデータ収集を行った。LCRメータの出力する電圧は0.5V,周波数は100Hz~300kHzに設定した。コンダクタンスG(電流の流れやすさ)とインピーダンスZ(電流の流れにくさ)を分析指標とした。測定にはシリコンゴム製板に9個のAg/Agclセンサを1cm等間隔に配置した特注電極板を発赤部に貼付し、各電極のリード線をLCRメータに接続し、2電極法で測定した。データ収集には、レーザー血流計と熱電対センサ温度計を用いて発赤部の中央部・左右辺縁部3カ所の血流量と温度を測定した。発赤発生時(1回目)とその1週間後(2回目)のインピーダンスをモニタリングすることにより、1度褥瘡の治癒が進んでいるか否かの判定のならびに褥瘡早期検出の可能性が示唆された。インピーダンスと血流、温度の結果概要は以下のとおりである。【インピーダンスの結果】 周波数には位相が存在するため、実数にしたコンダクタンスGを求めた。周波数200kHz付近でコンダクタンスGが1回目と2回目で顕著な差がみられ、200kHz付近のインピーダンスZに注目した。治癒が進んだ1度褥瘡は発赤発生の1週間後には損傷した細胞膜の修復、炎症等消退による水分減少のメカニズムにより、コンダクタンスGの減少・インピーダンスZの増加が確認された。【血流と温度の結果】1回目と2回目の中央部平均温度差(単位:℃)は1.02、右縁が1.06、左縁が0.85で治癒が進むと発赤温度は測定部位でほぼ均等に低下した。中央部平均血流量差(単位:mL/min)は21.7で、右縁が25.6、左縁が26.2であり、2回目の方が血流量は減少しており、発赤発生時の阻血によるうっ血が解消していると考えられた。