研究課題/領域番号 |
17K12443
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研究機関 | 安田女子大学 |
研究代表者 |
小園 由味恵 安田女子大学, 看護学部, 准教授 (50583928)
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研究分担者 |
森川 千鶴子 安田女子大学, 看護学部, 教授 (50320049)
笹本 美佐 千里金蘭大学, 看護学部, 教授 (70568104)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 重度認知症高齢者 / ガイドライン / 口腔ケア |
研究実績の概要 |
昨年度、摂食嚥下認定看護師、認知症看護認定看護師、老年看護教員、精神看護教員を含めた認知症看護と口腔ケアの専門家により、ガイドラインに含まれた口腔ケア項目の実践方法について検討し、具体的な方法を確定することができた。それらを踏まえて、口腔ケアチャートを完成した。引き続き、今年度は、重度認知症高齢者における口腔ケアの実践方法について確定できたので、口腔ケアチャートを臨床でも使用できるかどうか、全国調査を行った。その結果、実践頻度が高かった項目は、痰付着・痰貯留時の「吸引」「痰除去」など3項目、食物残渣時の「食物残渣除去」「含嗽」など4項目、義歯使用時の「義歯洗浄介助」「義歯装着介助」など4項目、実行機能障害・記憶障害・失認・失行の介入「習慣に合わせる」、嚥下障害時の「ポジショニング」の合計13項目であった。実践頻度が低い項目のうち、実施の必要性ありと答えた割合が75%以上の項目は、口腔失行時の「口腔周囲筋マッサージ」、拒否時の「段階的介入」、口腔乾燥時の「唾液腺マッサージ」、唾液多量時の「皮膚アイスマッサージ」の4項目であった。BPSDを伴う重度認知症高齢者に対して必要であるが実践がされていない項目として、「口腔周囲筋マッサージ」「唾液腺マッサージ」「皮膚アイスマッサージ」の3項目が上がったが、それらを安全に実施するためには専門的技術を要するため、これらの項目についての解剖学的知識や実践的な教育が必要という結果が得られた。 また、全国調査における看護管理者が認識する重度認知症高齢者に提供されている口腔ケアの現状としては、重度認知症高齢者に提供される口腔ケアが伸展するためには、診療報酬の引き上げや口腔ケアに対する加算など経営的な誘因も必要であり、さらに、地域の歯科医師にも協力を求め相談体制を強化する必要性が述べられていた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度、全国調査の結果から、次の段階として、「口腔周囲筋マッサージ」「唾液腺マッサージ」「皮膚アイスマッサージ」等、重度認知症高齢者に必要と考える項目を確実に実践している施設において、確定した口腔ケアチャートを基に、臨床で口腔ケアを実践していただき、実施対象の重度認知種高齢者の方の口腔内の変化について口腔アセスメントシートを用いて前後の口腔評価をしていただく予定であったが、全国調査の結果のまとめに時間がかかり、実施に至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
確定した口腔ケアチャートを基に、臨床で口腔ケアを実践していただき、実施対象の重度認知種高齢者の方の口腔内の変化について口腔アセスメントシートを用いて口腔評価をしていただき、その結果を基に、重度認知症高齢者における口腔ケア実践モデルを構築していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
実践研究が実施できなく、人件費と謝金が発生しなかったことから、次年度使用額が生じた。
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