研究課題/領域番号 |
17K12447
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
吉井 初美 東北大学, 医学系研究科, 教授 (10447609)
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研究分担者 |
萬代 望 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 准教授 (80516956)
渡部 雄一郎 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (90401744)
内田 知宏 尚絅学院大学, 総合人間科学系, 准教授 (30626875)
上埜 高志 東北大学, 教育学研究科, 教授 (60176617)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 統合失調症 / 就労 / メソッド / セルフスティグマ |
研究実績の概要 |
本研究は、就労をめざす統合失調症を有する人を対象に、セルフスティグマ低減を目的とした心理的介入を受けていただき、その効果を検証することによりメソッドを確立するものである。 介入手法である心理教育や効果の検証に用いるアンケート調査を含むプロトコルを確定し、東北大学および調査施設での倫理審査承認を得て研究を実施した。研究参加に同意の得られた対象者に対して、セルフスティグマを中心としたアンケート調査を実施し、その後で心理教育(5回セッション)を実施し、半年後に同様のアンケート調査に回答していただくことで、心理教育の効果を検討した。 対象者は、男性5名だった。今までに体験した精神科入院期間は、1年未満が3名、1-3年未満が1名、5-10年未満が1名であった。 主要評価項目である「差別」において、介入前と介入終了半年後を比較した際に、セルフスティグマが改善した群と悪化した群とに分け、その傾向を検討したところ以下の結果が示された。セルフスティグマが改善した群は3名だった。3名の共通点は、PANSSにおける「陽性症状」において介入後に改善がみられたこと。職場でのセルフスティグマ(WSDS)においては介入後に悪化がみられたことだった。セルフスティグマが悪化した群は2名だった。2名の共通点は、「開示」において介入後に改善がみられたこと。PANSSの「陽性症状」ならびに「陰性症状」において介入後に改善がみられたことだった。 以上の結果から、セルフスティグマ低減をアウトカムとした心理教育の明確な効果は得られなかったが、対象者の一般的なセルフスティグマが改善しても、職場におけるセルフスティグマは悪化すること。また、一般的なセルフスティグマの悪化と病気開示のしやすさとの関連が示された。 今後はより多くのサンプルによる効果の検証が求められる。
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