研究課題
高齢者夫婦世帯で夫婦のどちらかが要支援である10世帯で調査。訪問看護ステーションより対象者を紹介していただき、自宅に研究者が訪問。インタビューを行う。インタビューは倫理的配慮をした上で実施した。内容は、プロフィール36項目、感覚機能11項目、口腔機能10項目、排泄機能3項目、四肢の運動機 能29項目、睡眠状況4項目、身体バランス7項目、認知機能6項目、栄養状態9項目、環境要因48項目、混合調整機能4項目、リスク要因3項目、転倒の工 夫24項目である。転倒の有無別のクロス表にて概観しx2検定にて分析。要支援者の年齢の中央値は82歳(75歳から90歳)。転倒歴は男性1名、女性4名。転 倒要因と関連する項目は、『感覚機能』は腰痛、下肢の痛みであった。『四肢の運動機能』はつまずき、ふくらはぎが細い、引きずる(p=0.083)、下肢挙上、 歩行速度、歩幅、趾で踏ん張るであった。『身体バランス』はふらつき、片足立ち、であった。『認知機能』では物忘れ(p=0.083)であった。『栄養状態』で は副菜の皿数(p=0.064)であった。転倒予防の工夫は、玄関に椅子を置く、室内でスリッパを履かない等であった。高齢者夫婦世帯10世帯に行ったインタビュー の結果転倒回数、足の引きずり、猫背、物忘れ、副菜、歩行時の物拾い、急な振り向き、骨折の既往、室内でのスリッパの9項目が転倒の有無で有意差が認めら れた。転倒の要因として、転倒する人は、四肢の運動機能の項 目が多く、これらは加齢に伴う身体機能の低下に起因すると考えられる 。高齢者の暮らしの視 点から、転倒項目の検討を重ねる機会の重要性を認識した。この研究は、転倒予知項目を機械的な抽出ではなく、在宅医療に卓越している多職種が話し合いを重 ねることで、項目の表現や内容を吟味して作り上げることに意義がある。