研究課題/領域番号 |
17K12452
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
多留 ちえみ 神戸大学, 保健学研究科, 保健学研究員 (90514050)
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研究分担者 |
齊藤 奈緒 神戸大学, 保健学研究科, 助教 (20403298)
傳 秋光 神戸大学, 保健学研究科, 名誉教授 (40143945)
宮脇 郁子 神戸大学, 保健学研究科, 教授 (80209957)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 高齢在宅療養者 / 慢性心不全 / 認知症 / 生活調整 |
研究実績の概要 |
高齢在宅療養者が再入院することなく自宅でその人らしく生活を継続していく事ができるための医学的な情報を考慮した生活調整および高齢者自身の生活調整能力を確保するための支援方法の開発を目指している。2017年65歳以上の循環器疾患の医療費が全医療費の4分の1を占めており、2018年12月には「脳卒中・循環器疾患対策基本法」が設立された。医療財政的に困難であるわが国にとっては、重要な政策課題である。そのため、在宅高齢者の特に心肺機能不全および認知症の病態を管理することが、慢性心不全患者や慢性肺機能不全患者の再入院の予防が極めて重要であり、せん妄などの出現によって医療環境に適応できない高齢者の支援として重要であると考えている。昨年の内容を考慮し、以下の点について記述する。 1)気象環境における高齢者の室内環境に関する調査を実施た結果、気象環境に対して不快症状が増強する人と、自身の症状が変化しない人が存在している。しかし、交絡因子が多く、詳細な分析には限界がある。ただ、夏季/冬季とも、日内の室内環境の差が大きい在宅療養者は、何らかの体調の変化を呈することが分かった。そのため、在宅高齢者の生活調整を行うには、高齢者自身の自覚の有無に限らず、在宅療養に携わる医療従事者は、日内の室内環境に関して、意図的に関心を持つ必要がある。 2)在宅高齢者の慢性的な心肺機能不全および認知症の病態を管理し、生活調整を行うための支援プロトコールとしてプログラムソフトの開発を行っている。これまでの多くの事例研究から得られたエビデンスに加え、「いつもと違う」と感じる観察項目に室内環境及び自然環境や活動内容を追加し、意図的に観察できるようにした。 本支援プログラムソフトは、ほぼ完成した。今後は、多くの訪問看護師に本プログラムソフトの試用を依頼し、完成度の高いプログラムソフトの開発に向けた効果検証を行う必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、主に心肺機能不全及び認知機能不全の在宅療養者への看護支援に関する医学的支援プログラムについて強化することができた。2018年に、セルフモニタリングを強化することおよび、自己統制感を感じられることが療養者自身の自己効力感および生活の質に影響すると考え、利用者と家族のAdvance Care Planning(ACP)についての記述と自己統制感に関する内容を作成しており、2019年には、その内容に医学的支援に関する内容を追加し、支援プログラムソフトのほぼ全体像が完成したと考えている。使用できる研究費の中で、徐々に追加している状況である。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、これまで開発してきた在宅高齢者の看護支援プログラムソフトの試用による効果の検証と、必要な修正を行い、活用可能な在宅高齢者の看護支援プログラムソフトになることを目指している。そのため、各種学会やセミナー等で本プログラムソフトの説明などの普及活動を計画している。 ただ、今年度はCovid-19の影響で、すでに、交流会等は取り消しをしている段階であり、十分な普及活動ができない危険性を感じている。
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次年度使用額が生じた理由 |
在宅高齢者けの看護支援プロづラムソフト開発における委託費に充てたいと考え、少額ではあるが、開発中のプログラムソフトの改善及び修正等に充てたいと考えている。
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