| 研究課題/領域番号 |
17K12454
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| 研究機関 | 鳥取大学 |
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研究代表者 |
鰤岡 直人 鳥取大学, 医学部, 教授 (50252854)
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| 研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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| キーワード | 在宅酸素療法 / 遠隔モニタリング / 訪問看護 / 慢性呼吸不全 / 酸素飽和度 / 慢性閉塞性肺疾患 / 経皮的二酸化炭素分圧 |
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| 研究実績の概要 |
在宅酸素療法（home oxygen therapy: HOT）は慢性呼吸不全患者の予後,QOLを改善させる治療法である．自宅などでHOTを受けている患者の原因疾患は，大多数が慢性呼吸不全である.在宅中に酸素吸入を長時間継続すれば，生命予後の改善が期待できる．しかし，自宅などにおける酸素濃縮器の使用状況の客観的確認法や，吸入酸素流量の適正性を検討する手段などが臨床的未解決問題点として残されていた．本研究は，HOTの遠隔モニタリングを慢性呼吸不全患者に適用して，これらの臨床的問題点の解決を行い，改善結果を訪問看護に応用することを目的とした．2020年度は，主に以下の内容を研究した．
①健康関連QOL票（SF-36）を用いてHOTを受けている患者に対して，遠隔モニタリング介入前と介入3ヶ月後の尺度の変化を調べた．複数の尺度に有意な改善が認められ，結果を英文論文として公表した．さらに本研究から得られた研究成果を含めた英文総説論文を作成した
②訪問看護時の指導効率向上のため，訪問看護のためのマニュアルを改訂した．医師向けに詳細な「診療のための操作マニュアル」も作成した．これらのマニュアルは研究代表者の鰤岡研究室ホームページ，http://chronocyber.com/ にPDFをリンクして，自由に利用できるように公開している．鳥取大学医学部内に“在宅医療推進支援室”があり，専門性のある訪問看護師の養成を行っているが，参加している訪問看護師に対して講義を行い普及に努めた．
③高炭酸ガス血症を伴ったII型慢性呼吸不全に対する経皮的二酸化炭素分圧測定装置利用による処方酸素流量の見直し行い，実臨床において安全な吸入酸素流量を確認できた.HOTの遠隔モニタリング導入前に検討を行えば，より安全なHOTを構築できる可能性が示唆された．
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度は，情報通信技術を用いた遠隔モニタリング対応の在宅酸素療法システムを使用することにより，以下の点を主に調査研究することを目的とした．
（１）【患者側の健康関連QOL尺度の改善に関する検討】結果をまとめて，英語論文を作成した.別個，科研費を用いて得られた研究成果を含めた英文総説論文を作成した．
（２）【在宅酸素療法の遠隔モニタリングを訪問看護時に利用して，患者指導効率の向上に関する検討】訪問看護時の指導効率向上のため，「遠隔モニタリングを用いた在宅酸素療法．訪問看護のためのマニュアル」マニュアルを改訂した．また，医師向けの詳細なマニュアルも改訂した．これらのマニュアルは研究代表者の鰤岡研究室ホームページ，http://chronocyber.com/ に自由に利用できるように公開している．
（３）【高炭酸ガス血症を伴ったII型慢性呼吸不全に対する経皮的二酸化炭素分圧測定装置利用による処方酸素流量の見直し】対象患者に対して，実臨床において検討して安全な吸入酸素流量を確認できた.
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| 今後の研究の推進方策 |
在宅酸素療法の遠隔モニタリングが2018年度に診療報酬で認められ，2020年度に診療報酬適用内容が一部改正になった．今後，訪問看護においても利用機会が増すと思われる．実際の訪問看護師に問題点を指摘してもらい，「遠隔モニタリングを用いた在宅酸素療法．訪問看護のためのマニュアル」を再改訂予定である．医師向けの操作マニュアルも再改訂予定である．作成したマニュアルはホームページに公開する．
遠隔モニタリング機能を利用して解析した結果，処方吸入酸素流量が不足していると考えられる症例を認めた．このような症例に対して，医学的介入を行い，患者サイドの健康関連QOLの向上を目指し，その手順を構造化・体系化してまとめていく．それらの成果を訪問看護に応用する．
訪問看護師に意見を伺うと，訪問看護に協力してもらっている医療機関の認識がまだ不十分な部分もあり，どのように協力してもらえるのか検討が必要である．現場の意見を参考にして協力医療機関に対する説明文書の作成を引き続き行っていく．
訪問看護に利用しやすいように，在宅酸素療法の遠隔モニタリングの機能改善を検討する.
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| 次年度使用額が生じた理由 |
「遠隔モニタリングを用いた在宅酸素療法．訪問看護のためのマニュアル」および医師向けの「遠隔モニタリングを用いた在宅酸素療法診療のための操作マニュ
アル」の印刷代が低予算で行えた．次年度に残予算を繰り越して使用予定である．
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