研究課題/領域番号 |
17K12463
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研究機関 | 札幌市立大学 |
研究代表者 |
菊地 ひろみ 札幌市立大学, 看護学部, 教授 (80433134)
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研究分担者 |
御厩 美登里 札幌市立大学, 看護学部, 助教 (90707564)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 在宅療養者 / 医療依存度 / レジリエンス |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、医療依存度の高い在宅療養者の、退院直後から生活の再構築に至る過程におけるレジリエンスの要素を明らかにし、療養者のレジリエンスを促進する看護支援の導入を試みることである。研究期間は3年間である。 初年度の平成29年度は、研究計画に則り、文献検討ならびに次年度の調査実施の準備を行った。共同研究者と共に、看護学分野におけるレジリエンスを主題とした国内文献28編、海外文献26編を収集し精読した。次いで、文献検討をもとにレジリエンスの基本的な3要素である①スキルとコンピテンス、②内的・個人的強さ、③促進的環境について、在宅看護分野の特性から検討した。レジリエンスに関する研究対象は重症心身障害児(者)の家族、などの先天性疾患をもつ患者家族に関するもの、ストマ造設など医療的に侵襲を伴う治療後の患者の恢復を主題としたものが多く、研究分野や研究対象によりレジリエンスの定義・概念の枠組みが異なることが明確になった。医療依存度の高い状況は、在宅では性別、年代を問わず存在し、在宅療養者全体に占める割合は上昇している。医療的ケアを必要とする療養者の在宅移行は、家族にとっても重大な危機状況である。在宅看護分野のレジリエンス研究では、対象を横断的網羅的に設定する必要がある。また、家族や支援者を含めた環境を枠組みに組み入れる必要がある。 現在、文献検討から得た知見をふまえて在宅療養者のレジリエンス概念の枠組みを作成中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実施計画は概ね順調であるが、レジリエンス研究を先進的に取り組んでいる研究者を招聘する計画は実施できていないため、次年度以降訪問看護のモデル構築に際して訪問看護師向けの講座等に合わせて招聘し行く予定である。 平成30年度に実施予定の調査対象者の抽出、調査協力先の訪問看護ステーションのリストアップ、倫理申請にけて準備中である
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今後の研究の推進方策 |
研究期間は平成29年度から3年間である。今後の研究計画は、生活の安定を再び取り戻した在宅療養者がもつレジリエンスの要素を明らかにすると共に、医療依存度の高い療養者の在宅生活の再構築に向けて、療養者のレジリエンス促進に働きかける看護支援について仮説を立て、その導入を試みることを目標にしている。平成30年度は、グラウンデッドセオリーアプローチにより、医療依存度の高い在宅療養者の生活の再構築におけるレジリエンスを要素を抽出する。平成31年度は在宅療養者のレジリエンスに着目した看護支援仮説の生成と看護実践への適用および初期評価を実施する計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度計画していた、レジリエンス研究者を招聘した学習会、講演会が、スケジュール調整が難航したために次年度以降に延期することとなったため。平成30年度及び平成31年度に訪問看護師を対象とした研修会と併せて学習会を計画する予定である。
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