研究課題/領域番号 |
17K12463
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研究機関 | 札幌市立大学 |
研究代表者 |
菊地 ひろみ 札幌市立大学, 看護学部, 教授 (80433134)
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研究分担者 |
御厩 美登里 札幌市立大学, 看護学部, 助教 (90707564)
高橋 奈美 札幌市立大学, 看護学部, 講師 (30452981)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 医療依存度 / 在宅療養 / レジリエンス / 生活史 / 困難 / スキル / 主張と協調 |
研究実績の概要 |
気管カニューレ装着、胃ろう造設、留置カテーテル、人工肛門造設など、医療依存度が高く、特別な管理が必要な状態となって在宅療養を開始し、その後生活を再構築して安定を取り戻した在宅療養者のもつ「レジリエンス(resilience;個人内および環境要因の両者を活用しながら困難な状況に適応する心理的回復力)」の要素を明らかにすることを目的として調査研究を行った。 北海道内で研究者が訪問可能な地域において、特別管理加算Ⅰ・Ⅱ(訪問看護利用者のうち、特別な管理が必要な利用者を対象に計画的に管理を行うことで加算)の届け出をしている訪問看護ステーションの管理者から、対象条件に一致する利用者の紹介を受け、半構造化インタビューを実施した。データが飽和化するまでインタビューを継続し、2018年度は計12名に実施した。倫理的配慮は、所属大学の倫理審査委員会の承認を受けた。 対象者は、男性7名、女性5名。年齢は30才~86才(平均年齢72.3才)。在宅療養期間は7か月年~14年(平均3.9年)。医療処置は、人工肛門(4名)、尿管皮膚瘻(3名)、気管カニューレ(2名)、人工呼吸器装着(2名)、胃ろう(2名、在宅酸素(1名)褥瘡(3名)、導尿留置カテーテル(2名)等であった。家族構成は独居(6名)夫婦のみ(5名)、配偶者以外の家族と同居(1名)等であった。住居形態は一軒家(4名)、集合住宅(8名)であった。 現在M-GTA(修正版グラウンデッドセオリーアプローチ)に従い分析中である。現在まで抽出されたサブカテゴリーは、「生活史の中で困難を経験してきた辛抱強さ」「自分の家を療養場所とすることの信念」「自己管理のスキル獲得に対する関心」「オリジナルの工夫」「良い意味での鈍感さ」「周囲を頼れるしなやかさ」「周囲の人々に対する感謝」である。理論的飽和状況により今後追加のインタビューを行う可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請書に記載した2018年度の実施計画に基づくインタビュー調査がほぼ終了していることから概ね順調な進捗状況と考えてている。今後の分析結果によって理論的飽和に至らなければ、追加のインタビュー調査を行う可能性があるが、当初の計画はほぼ遂行できたものと考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後はインタビューデータの分析を進め、仮説生成を目指す。理論的飽和に至らなければ、追加のインタビュー調査を行う可能性がある。 結果から、在宅療養者のレジリエンスに着目した看護支援の仮説を生成し、看護実践への適用可能性について、専門家会議を実施する。専門家会議は、重症度の高い療養者を受け入れ、人材育成の研修などを実施する機能強化型訪問看護ステーションの管理者もしくは教育担当者等を招聘する。専門家会議の結果から看護支援モデルを生成し、初期評価をアクションリサーチで行う。アクションリサーチの実施施設は、研究者が訪問可能な札幌市もしくは近郊の機能強化型訪問看護ステーションに協力を依頼する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
状況として、研究補助者を雇用しなかったこと、インタビューデータの文字起こしの費用が予算より少なかったこと、インタビュー調査の対象地域が結果として小さかったことにより調査にかかる旅費、経費がが小さかったことがあった。 翌年度分は、データ分析用のPCの購入、専門家会議、アクションリサーチの費用、研究成果の公表のための報告書印刷、論文投稿、学会出張などに使用する計画である。
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