本研究の全体構想は、厚生労働省が掲げる精神保健福祉施策の改革ビジョンに基づき精神疾患患者の地域移行を促進するために、医療施設において革新的な実践を行う精神科病棟看護師の育成システムを構築することである。それを達成するために、本研究では、ストレングスの視点を活用した看護実践ができる精神科看護師を育成するためのトレーニングプログラムを作成および試行し、実用可能なプログラムを開発することを目的とした。 最終年度にあたる2022年度は、ストレングスの視点を活用した看護実践ができる精神科看護師を育成するためのトレーニングプログラムの有用性を評価し、プログラム内容を洗練させることを目的に取り組んだ。プログラムを作成する際は、先行研究により行った精神障害者のストレングスに関する概念分析の結果に基づき、独自に開発したテキストとワークシートを活用した。プログラムは、【講義編】ストレングスの基本(2時間程度)、【演習編】ストレングスの視点を活用した実践(2時間程度)という2段階で構成した。対象者は、大阪府の精神科病棟に勤務する看護師のうち、本研究に同意し参加した者とし、除外基準は設定しなかった。調査内容は、基本属性と成果指標(ストレングス志向の支援態度尺度・一般性セルフエフィカシー尺度・トレーニングプログラムに関する評価(自作))で構成した。データ収集時期は、参加1ヶ月前(参加申込直後)・参加直前(【講義編】参加直前)・参加1ヶ月後(【演習編】参加直後)の3時点とした。結果、18名の参加者を得た。現在、これらのデータについて分析中である。
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