研究課題/領域番号 |
17K12478
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研究機関 | 沖縄県立看護大学 |
研究代表者 |
大川 嶺子 沖縄県立看護大学, 看護学部 看護学科, 准教授 (50162558)
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研究分担者 |
山口 初代 沖縄県立看護大学, 看護学部, 助教 (70647007)
大湾 明美 沖縄県立看護大学, 保健看護学研究科, 教授 (80185404)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 統合失調症慢性期 / 老親介護 / 在宅介護 / サポート授受 / 障害者地域生活支援 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、老親を在宅介護する統合失調症者と介護を受ける母親とのサポートの授受に着目して、統合失調症者が安定して地域生活を継続するための支援方法を開発することである。 先行研究では、統合失調症者を介護する親、特に母親の苦悩や孤独感、健康問題などが多数報告されている。ところで、超高齢社会では、統合失調症者が親の介護を担う介護役割の逆転が起こっている。親の介護を行っている統合失調症者は、介護上の問題や自身の就労訓練中断、精神症状悪化がありながらも親の介護を肯定的にとらえていたことが報告されている(関口、2005)。また一方では、介護役割の逆転が、男性統合失調症者の自分らしい生活の意識のきっかけとなっていることも報告されている(石飛、2013)。発症により家族や社会での役割を果たせずに壮年期に至った統合失調症者にとって老親介護の経験は、エリクソンの言う「世話をする」基本的強さを獲得する重要な体験となっていることが考えられる。 山口(2012)は、「介護を受ける母親と介護を行う息子の間でのサポート授受」で、母親と息子は相互にサポートを授け・受けながら、地域生活を継続していたと報告していた。融通のきかなさや段取りの悪さ等の「生活障害」を抱えているが故にサポートを受けてきた統合失調症者が、老親の介護を担い共に地域生活を継続するためには、子の生活障害を熟知している親、特に母親との上手なサポートの授受は重要な要素であると考える。 以上のことから、母親を介護して地域生活を継続している統合失調症者と介護を受ける母親のサポート授受の実態を把握し、統合失調症者が介護をうける母親と安定して地域生活を継続するために看護者として必要な支援内容を検討し、支援方法を開発することには意義があると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
県Hpで確認できた障害者総合支援法に基づく相談支援事業所31箇所、および離島市町村の福祉等相談窓口15箇所に、電話で研究の趣旨を説明し、在宅の統合失調症者が母親を介護しているケースの有無を確認した。その結果、統合失調症者本人および母親に面接可能なケースは5例であった。そのうち面接出来たケースが3例、近日中の面接予定が1例、本人が安定する時期を待っているケースが1例である。精神障害者家族会数カ所に直接又は電話で同様に確認を行ったが、現在までの所該当のケースは確認できていない。当初計画した10例には到達していない。 面接を終えた3例では、母親の日常生活状況は異なっていたが、統合失調症である子どもは高齢となった母親を助けていた。母親は統合失調症である子どもの病状に配慮しながら、子どもの出来る事を依頼していた。
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今後の研究の推進方策 |
面接の終了したケースについては、今後面接内容を整理して詳しく分析し、サポートの授受の実態を把握する予定である。 ケース数の目標は10例であるので、回答保留の相談支援事業所等から情報収集を続けながら、県内の全精神障害者家族会からの情報収集も行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
関連学会での成果報告のための学会参加費。 高齢者在宅看護および精神障害者地域支援の実践者、専門家による会議開催時の会議費。 会議録のテープ起こし。報告書作成、印刷費用など。
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