研究課題/領域番号 |
17K12487
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
藤木 眞由美 帝京大学, 医療技術学部, 講師 (50527455)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | きょうだい / 家族看護 / 統合失調症 |
研究実績の概要 |
精神疾患は2013年度から5大疾患に加わり、医療計画が取り組まれていることから、精神障害者の生活支援とともにその障害のある人を取り巻く家族への支援も重要な課題といえる。精神障害者の加齢とともにケアを担っていた親も高齢になるため、精神障害者のケアの担い手がきょうだいへと世代交代している。親はきょうだいにケアの担い手を任せることができるが、きょうだいは親のように誰かに託することは困難な状況である。そこで、本研究の目的は、統合失調症者を抱えるきょうだいが、統合失調症者とのかかわりで生じた葛藤から生活を再構築する過程(適応過程)を明らかにする。そして、きょうだいの生活の質を高められるよう適応過程に基づいた教育プログラムを開発し、検証する。このことにより、統合失調症者とその家族の生活の質を高められることに貢献する。 今年度は、統合失調症者とのかかわりに適応しているきょうだいにインタビューを実施し、適応過程を明らかにすることであった。インタビュー内容は、自分らしい生活、統合失調症者のきょうだいとしての思い、統合失調症者との関わり方、今後望んでいることなどである。インタビューは、20名程度を目標数として取り組んだ。結果として、10名にインタビューを実施した。一定のデータを収集できたと考え、分析にとりかかる段階となった。分析方法はグラウンデッド・セオリー・アプローチ(木下M-GTA)を基盤にして行う予定であったが、適応過程を明らかにするための分析方法として適しているか、再度検討をしている段階である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の計画では、統合失調症者とのかかわりに適応しているきょうだいにインタビュー調査をし、適応過程を明らかにすることであった。インタビューは、目標数の半分である10名に行った。目標数を20名と設定した経緯は、先行研究では7名~50名程度であったことからの参考値であった。今回、10名から一定のデータを収集できたと考えている。得られたデータから適応過程を明らかにするため、予定した分析方法を再検討する必要があったが、現在、分析に取り組み始めたところである。追加データを要する必要が出てきたが、それも計画想定内であるため、当初の計画におおむね沿っていると考える。
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今後の研究の推進方策 |
計画に沿って、まずは、得られたデータを分析し、データの不足があった場合には、インタビュー調査を継続する。適切な分析方法を用いて、適応過程を明らかにする。国内外の学会で発表し、学会誌に投稿する。 次のステップである教育プログラムを構築する必要があるため、構築に向け、ADDIEモデル等を検討すること、教育プログラムの内容にかかってくる可能性の高い、ピアサポートについて全国に点在している精神障がい者の兄弟姉妹の会とコンタクトを図るなどの教育プログラム作成の準備期間とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該助成金が生じた状況は、国際学会に参加を計画していたが参加しなかった。そのような状況に至ったのは、研究データ収集を優先し、研究対象者にインタビュー等を行ったり調整をしたためである。 翌年度として請求した助成金と合わせた使用計画は、データをまとめ、国際学会発表をする際の旅費や英論文のネイティブチェック、および、研究テーマに関連する海外の状況を視察費としている。全国に点在している精神障がい者の兄弟姉妹の会のピアサポートの在り方などの調査費に充てる。
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