研究課題/領域番号 |
17K12490
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
春日 広美 東京医科大学, 医学部, 准教授 (30269295)
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研究分担者 |
太田 浩子 東京工科大学, 医療保健学部, 准教授 (30583934)
遠山 寛子 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (10433989)
岩田 尚子 東京医科大学, 医学部, 助教 (30422752)
久長 正美 東京医科大学, 医学部, 助教 (60805406)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 在宅看護シミュレーション学習 / 分岐型ストーリー / 教材開発 / 教育効果測定 / eラーニングコンテンツ / 訪問看護場面 / 在宅看護学の教育 |
研究実績の概要 |
2018年度はコンテンツの作成および対照群のデータ収集に専念した。コンテンツの作成は、パーキンソン病を持つ独居の在宅療養者の事例で、全7話の訪問看護場面のシナリオである。シナリオは分岐に対応するため、分岐問題に合わせて1話当たりに複数シナリオとし、その後の回では、その分岐を引き継いだ話となるように工夫している。研究班の看護系教員でシナリオを複数回推敲したあと、訪問看護の臨床家である、訪問看護ステーション管理者、地域看護専門看護師、訪問看護分野の認定看護師、在宅看護分野の大学教員など5名にチェックを依頼した。チェックの目的はストーリーのリアリティを確保するためであり、パーキンソン病、女性の独居高齢者の療養生活として、実際の在宅療養者や訪問看護活動との乖離がないか、細部にわたって確認を依頼した。その結果、シナリオ上のいくつかの修正を行った。 上記の過程を経て、教育用映像作成の実績を持つ映像会社へ動画の撮影を依頼した。研究計画ではアニメーションで作成することを考えていたが、シナリオのボリュームでは時間と費用がかさむこと、また、在宅療養者の自宅内の絵として、微妙な物品の配置や、人間の身体の表現がアニメーションではうまくできないと考え、実写とした。在宅療養者および訪問看護師役は役者に演じてもらい演技上のリアリティの確保に努めた。一方、eラーニングシステム内での分岐型ストーリーの構成では、分岐式一覧表を作成してシナリオシーンごとに記号化し、記号に合わせて動画をeラーニングシステム内に配置した。最終的に終末話までにストーリーは162パターンとなった。分岐の動きを研究班の看護系メンバーで確認をし、何度か試運転をし完成した。 2019年度は介入群学生に対してコンテンツを提供し、かつデータを収集することを予定しており、具体的な日時も介入群学生の時間割に合わせて予定をし、準備がほぼ完了している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
予定していた在宅看護シミュレーションコンテンツは完成し、データ収集のための研究者の準備は終了している。現在、所属大学の研究倫理審査委員会において、コンテンツの提供、対照群および介入群のデータ収集に関して審査にかかっており、まだ回答が得られていない状況である。予定どおり、コンテンツ提供、対象両群への研究の説明と同意、およびデータ収集が行われれば、初期の計画からは1年遅れではあるが、予定した遅れの範囲で研究は遂行できる。もし、倫理的に承認が得られない場合、今年度中にコンテンツを提供する機会を逸することになるため、おのずと来年度以降へとずれ込むことも否定はできない。
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今後の研究の推進方策 |
もしも予定通りにコンテンツ提供ができ、データが収集されれば、本研究の残された課題は結果の分析のみとなる。本研究を行ったことで、看護実践の能力向上に寄与するための、簡便に作成できるシミュレーションコンテンツを開発する必要性を感じさせる結果となった。現代の大学生の学習の傾向から考えると、動画による情報の取得、そこから物事のイメージをつくる、しかもスマートフォンという簡便でパーソナルな端末からというのは今後は当たり前となっていくだろう。そのような中にあって、本研究のコンテンツは画期的なものと考える。今回はコンテンツの作成段階において、実写撮影に大きな労力と資金が必要であった。そのため広く一般に、容易に作成できるものではなかった。しかし、一般化、汎用させるために何をどう工夫すればよいのか、その筋道は見えた。今後は、教育職であればだれでも作成できるコンテンツ作成キットの開発につなげていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
収集した文字データの入力は業者委託を予定している。その分析のためにテキストマイニングを購入する計画である。また、2019年12月に開催予定の日本看護科学学会の交流集会でコンテンツを紹介することを予定している。 これらのための費用を最終年度に残した状態である。
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