研究課題/領域番号 |
17K12498
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研究機関 | 梅花女子大学 |
研究代表者 |
原田 小夜 梅花女子大学, 看護保健学部, 教授 (40634382)
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研究分担者 |
西垣 里志 聖泉大学, 看護学部, 講師 (70611606)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 高齢精神障害者 / 介護支援専門員 / 精神科医療機関 / 地域連携パス |
研究実績の概要 |
1次調査として、介護支援専門員(CM)に対する自記式アンケート調査を実施した。アンケート内容は、高齢精神障害者のケアプラン作成経験、精神科保健医療関係者から提供してほしい情報、実際にケアをする上で困った経験、対応に困った時の対処等で、364人から回収した。 高齢精神障害者のケアプラン作成経験有りが82.1%で、疾患別では、統合失調症が25.0%、躁鬱病・うつ病(気分障害)が46.9%、神経症(不安障害)が23.4%、アルコール依存症が21.7%、発達障害が10.7%、うつ・抑うつ状態18.1%であるが、平均作成数はどの疾患も2件に満たない状況であった。 CMが精神科医療機関・専門職から提供して情報項目では、「必ずほしい」との回答割合が、最も高かったのが、「キーパーソン」で70.9%、次いで「病状悪化時に受診・相談ができるか」56.3%、「社会的な逸脱行動」52.2%、「介護保険の申請・認定」50.8%、「幻聴・幻視等に基づく行動による生活への影響」50.0%、「病状悪化の前兆」49.5%であった。 CMが対応に困った体験有りの割合では、「利用者の気分が変動する」88.9%、「幻聴、幻視等の訴えや独語」71.6%、「生活上の不安に対する訴え」78.6%「身体が痛い、具合が悪いという頻回の訴え」67.9%、「死んでしまいたい」と訴える」63.1%が6割を超えていた。 CMが困った時に相談・連携する関係機関の知識では、地域包括支援センター99.2%、精神科病院の主治医94.9%、地域ケア会議で困難事例として提出93.0%で、90%を超えていた。精神障害者の地域活動支援センターに相談や 緊急時のプランを精神科専門職と決めておく、 市役所や保健所に相談するに関する知識有りの割合が70%以下であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
介護支援専門員に対する自記式アンケート調査の結果を受けて、事例調査を実施した。 予定期間での回収数が少なかったため、介護支援専門員の連絡協議会に再度依頼をする等、回収につとめた結果、一次調査の終了が当初予定より、2ヶ月遅くなった。 また2次調査も郵送法による事例調査を実施する予定であったが、協力者が少なかった。そのため、地域包括支援センターの会議、介護支援専門員の研修会に直接出向き、依頼し、回収につとめた。しかし、事例を回収すると、郵送法の回答だけでは、事例情報が不十分であったことから、2次調査の精度を上げるために、急遽、協力していただいて介護支援専門員の事業所を訪問し、面接調査を実施した。また、調査票に関する記述漏れについては電話による聞き取り調査を追加する必要が生じた。その結果、2次調査が少し遅れている。しかし、訪問したことによって、郵送調査では得られなかった介護支援専門員と精神科医療機関との連携の実態、行政機関との連携に関する生の声を聞くことができ、2次調査の精度が上がった。このため、予定していた期間よりも調査結果の分析が遅れている。また、本研究のプレ調査として実施した調査に関する論文掲載がされた。
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今後の研究の推進方策 |
現在、1次調査のアンケートの量的集計は終了した。今年度、学会発表、論文投稿を予定している。1次調査の自由記載分析は途中である。この分析と、2次調査の事例調査の分析を現在行っている。これらの分析を終了した後、事例提供していただいた一部の協力者に再度、分析結果を提示して、確認をしてもらう。その後に、本年度当初に予定していた精神科医療機関、行政機関へのインタビュー調査を実施する予定にしている。 インタビューの実施にあたり、協力していただく機関に対する調整、協力者のリクルートを実施し、本年度内に基礎的なデータ収集を終了したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
残6,987円は、研究協力者との打ち合わせに要する旅費として、翌年度繰り越しとした。
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