研究課題/領域番号 |
17K12498
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研究機関 | 梅花女子大学 |
研究代表者 |
原田 小夜 梅花女子大学, 看護保健学部, 教授 (40634382)
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研究分担者 |
西垣 里志 聖泉大学, 看護学部, 准教授 (70611606)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 高齢精神障害者 / 介護支援専門員 / 地域連携パス / 精神科医療機関 |
研究実績の概要 |
平成29年度に介護支援専門員に実施した質問紙調査の結果から、介護支援専門員の高齢精神障害者に対する支援経験は8割と高かった。 2次調査では介護支援専門員が1年以内にケアプランを作成した事例の提供を受け、分析した結果、介護支援専門員の支援対象者は75歳以下が50%程度と前期高齢者が多いのが特徴であり、診断名では統合失調症が20%,躁うつ病が10%と,若年発症で継続的に支援を受けている者と認知症を合併する高齢期発症の者の2グループとに分かれると考えられる。高齢期発症のグループには、身体疾患の発症により介護が必要となり、精神症状が顕在化した事例もあった。日常生活自立度は軽度者が80%を超えており,精神症状によって介護を要する状態であると考えられる。経済的問題のある場合は,自己負担が発生する介護保険サービスの導入が難しい状況が推察される。支援対象者の40%が病状不安定者であり,介護支援専門員と精神科専門職との定期的な連携が重要であると考えられる。日中の居場所としてデイサービス利用,病状観察のための訪問看護の利用が多い状況が推察された。介護支援専門員は,主治医以外は訪問看護や地域包括支援センターに事例の相談をしている状況にあると考えられる。高齢精神障害者の地域包括ケアにおいては多職種連携が重要であり,事例分析を進める中で,介護支援専門員と精神科専門職との連携方法について検討する必要がある。そこで、3次調査として、精神科訪問看護ステーション、精神科クリニック精神保健福祉士に対するインタビューを実施した。精神科訪問看護ステーションでは、精神の相談事業所相談専門員に比べて、介護支援専門員は臨機応変な対応が難しい状況が語られた。介護支援専門員への情報の内容だけでなく、伝達方法について検討する必要性が明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2次調査の事例分析について、報告書の中でも記述したが、2,3のグループ別に分析する必要が生じたため、分析方法を再検討した。事例の量的な分析はできたが、グループ別に再分析を進めている。同時に、精神科専門職に対するインタビュー調査を平成30年度に実施したが、インタビュー機関が2カ所、4名と少なく、データ収集が不十分である。新たに精神科訪問看護ステーションと一般科訪問看護ステーションでは連携方法が異なることが明らかになったので、調査対象を増やす必要がある。また、事例分析結果については、介護支援専門員の集まりの場でフィードバックしながら、再度グループインタビューを行う必要性が出てきた。
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今後の研究の推進方策 |
事例分析の結果について、介護支援専門員連絡協議会、主任介護支援専門員の集まりの場でフィードバックしながら、グループインタビューを実施する。 1,インタビュー調査:訪問看護ステーション、精神科医療機関の医師、PSW、保健所職員に協力を得て、インタビューを行う。当初の予定では、様々な職種の同席の会議を予定していたが、その前に、個々の対象者から情報収集し、その結果を分析する。 2,インタビュー結果の分析から、①介護支援専門員に提供する必要のある高齢精神障害者の情報提供項目を洗い出す。②情報提供方法について検討する。 なお、①,②については、1次調査、2次調査も踏まえながら介護支援専門員の精神障害者に関する知識に応じた方法を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度調査の分析が遅れたため、調査結果を踏まえて平成30年度に実施する予定であった精神科専門職へのインタビュー調査が遅れている。調査対象者の範囲を拡大して、実施する予定である。
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