本研究は看護小規模多機能型居宅介護(以下、看多機)における看護の特性、利点、課題を明らかにし、看多機の普及や看多機における効果的な看護提供を促進する方策を検討することを目的とする。最終年にあたる令和元年度は前年度までの調査結果を踏まえた質問紙を作成し、全看多機を対象に調査を行った。 回答施設は182施設(回収率36・0%)で営利法人が44.4%と最も多かった。登録利用者は男性が6.8(SD3.9)人、女性が13.7(SD5.2)人で、80代が9.8(SD3.7)人で最も多く、要介護度は要介護5が4.4(SD3.0)人で最も多かった。独居(日中独居含む)の者は8.7(SD7.3)人で、定期的に訪問診療を受けている者は8.0(SD6.9)人、1年間の看取り数は3.1(SD3.8)人であった。関係職種との連携は同僚看護職とが最も得点が高く、同僚ケアマネジャー、同僚介護職と続き、主治医、外部のケアマネジャーは比較的低かった。職種毎に連携の強い群(以下、連携強群)と弱い群(以下、連携弱群)の2群で比較した結果、同僚看護職との連携強群は連携弱群に比べ33項目のうち23項目で看護の利点に関する認識が高く、課題への認識が低かった。「状態悪化時に入院せずに施設で看られる」や「中重度者は対応しきれないことがあり受入れが難しい」といった重症度の高いケースを想定した質問項目では、同僚看護職、ケアマネジャー、医師との連携強群が連携弱群に比べて有意に看護の利点に関する認識が高く、課題への認識が低かった。 看多機の看護の充実を図る上では同僚看護職との連携強化が重要と考えられた。また、外部の他職種とは柔軟な連絡調整がしづらいことが示されたが、利用者は80代が半数で要介護度が高く、独居者が4割を占めており、今後予測される重度化に対応するためには職員間のみでなく医師との連携強化の必要があると考えられた。
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