研究課題/領域番号 |
17K12511
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研究機関 | 兵庫医療大学 |
研究代表者 |
久保田 真美 兵庫医療大学, 看護学部, 助教 (60759752)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 認知症高齢者 / 独居生活 / 継続 / アセスメントツール / デルファイ法 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、認知症高齢者が、自分の能力を最大限に活かしながら安全に在宅生活を継続していくためのアセスメントツールを作成し、信頼性・妥当性について検討することである。アセスメントツールの作成は、高齢者の独居生活に関する先行文献と専門職(介護支援専門員・訪問看護師・訪問介護員)へのインタビューデータを参考にしたうえで、まずは、原案を作成し、認知症看護・老年看護の専門家にスーパーバイズを得た。 さらに、現在地域で勤務しており、認知症高齢者の独居生活の支援にも従事している専門職者(老年看護専門士・認知症看護認定看護師・上級認知症ケア専門士等)31名にプレテストを2回行い、最終的なアセスメントツールの作成に至った。このプレテストは原案62項目に対して、「認知症高齢者が独居生活を継続できるかを判断するために、重要な項目か」という視点で5段階で評価してもらい、自由記載欄も設けた。その結果「診察時に保険証・診察券・予約票を持参している」や「自宅の鍵の管理が自分でできる」など、生命の安全に直結しない項目、「夜は寝床で寝ている」や「頭髪がべたついており多量のフケがある」等の本人が受容していて病気に直結しない項目は重要度が低かったため、削除した。一方で、「本人は独居生活を希望していた」「大切にしているものが生活空間に存在する」などの本人の意思や尊厳に関する項目では、返答に著しいばらつきがあった。このため、今後の全国調査では人数による重要度だけではなく、項目の返答と職種の関連性を検討することや研究対象者の認知症ケアの質を評価する尺度も測定していくことが必要であると考えた。その他に文章表現や、項目の統合など、自由記載の意見を参考に行った。2回目のプレテストでは、1回目の集計結果と自由記載欄に目を通してもらったうえで、同じく項目ごとに評価をしてもらった。その結果、最終的には、42項目に洗練された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまでに地域で勤務している介護支援専門員、訪問看護師、訪問介護士にインタビュー調査を行い、認知症高齢者の独居生活の継続に関する要因などを聴いた。それらをもとにアセスメント項目を作成し、スーパーバイズを受けたのち、認知症ケアの専門家31名にデルファイ法にて、アセスメント項目が妥当であるか、表現が不適切、もしくは伝わりにくくないか、という視点で確認してもらい、意見を集約した。その結果、当初の62項目は、42項目に精錬された。 この42項目のアセスメント項目で、今後調査を行う予定である。対象は認知症ケア専門士の資格を持ち、地域包括支援センター、居宅介護支援事業所、訪問看護ステーション、訪問介護事業所のいずれかに勤務する者とする。認知症ケア学会のホームページで認知症ケア専門士で、前述した4カ所の職場で勤務している登録者、全1075名を抽出した。倫理審査委員会で承認を得て、5月初旬、この1075名に発送する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
5月に調査書を全国約1075名の認知症ケア専門士に配布し、研究協力に同意を得られた者を対象に2回のデルファイ調査を行う。1回目の集計結果と自由記載の意見をまとめた結果を2回目の調査の際、同封して結果を見てもらったうえで2回目の調査に回答してもらい、集計分析を行う。 アセスメント項目の妥当性を検討する際、今回の調査の協力者の認知症者に対する認識を確認するために、「認知症の人に対する態度尺度」も解答してもらい、協力者の属性・態度尺度とアセスメント項目に関しての解答の相関についても分析をおこなう方向である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度全国調査に入る予定だったが、遅れてしまったことや専門職者に個別にインタビューを行う予定であったが、共同研究者等と相談した結果、31名のプレテストを2回行うことでアセスメント項目の妥当性を確保した。今年度SPSSを購入して分析予定であったが、全国調査に至らなかったため、次年度に購入し、全国調査をした結果の分析を行う予定である。
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