研究課題
精神障がい者の新たな倦怠感尺度の開発を行なう目的で、全国の精神障がい者通所施設に967部のアンケート用紙を配布し、529人から有効回答を得た(回収率63%、有効回答率87%)。SPSSver.29にて精神障がい者倦怠感尺度の信頼性、妥当性の検証を行った。項目間の相関係数.70以上の5項目、回答に混乱した者が多かった逆転項目の10項目と、探索的因子分析で因子負荷量.49以下の7項目を削除し、合計31項目で再度因子分析を行ったところ、4因子に集約された。第1因子は「ぐったりしている」等の11項目で構成されており「疲れとだるさ」とした。第2因子は「集中して考えられない」等の9項目で構成されており「思考力の低下」とした。第3因子は「物事に興味が持てない」等の7項目で構成されており「活力のなさ」とした。第4因子は「思うように体が動かない」等の4項目で構成されており「身体的つらさ」とした。構成概念妥当性を確認するために、Amos29.0にて確認的因子分析を行ったところ、適合度指数はχ2=1429.12、df=428、p<.000、GFI=.833、AGFI=.807、RMSEA=.067であり、MSEAが0.05以上、GFI、AGFIが.90に満たないことから構成概念妥当性が指示されたとは言い難い結果であった。Cronbach’s α係数は下位尺度間、尺度の合計すべてが.70以上であり、信頼性は確保されていた。倦怠感尺度と厚労省の疲労蓄積度チェックおよびPS(Performance status)との関連についてSpearmanの順位相関係数を求めたところ、精神科倦怠感と蓄積疲労度の相関はγ=.62~.76と中程度の相関が、PSとの相関はγ=.45~.56と弱い相関がみられ、準関連妥当性は確保されていた。協力していただいた施設にお礼とともに、以上の結果報告書を送付した。