在宅医療の推進や地域包括ケアシステムの構築が推進される中、訪問看護には、これまで以上に高度で専門的な役割が期待される。診療報酬・介護報酬では、訪問看護ステーションで、一定の人材が確保できていること、スタッフ研修が定期的に実施を評価する療養費が設立されるなど、看護の質の担保が求められるようになった。近年では、新卒の訪問看護師の採用も増えてきている。しかし、小規模事業所が6割を占め、教育体制の不整備も多い。 新人訪問看護師は、まず、先輩看護師と同行訪問しながら、単独訪問つまり「ひとりで訪問できる」看護実践能力を習得していく。しかし、新人訪問看護師の「ひとりで訪問できる」看護実践能力を明確にしているものはなく、訪問看護ステーションの考え方や経営状態で差異があるのが現状である。また、例え、臨床経験のある看護師であっても、単独訪問をする時期が早く、負担感を感じている。そのため、新人訪問看護師は、十分な看護実践能力を習得せず、一人で訪問し始めている可能性も高い。 そこで、本研究の目的は、新人訪問看護師の「ひとりで訪問できる」ために必要な看護実践能力を可視化し、評価指標を作成することである。 今年度は、評価指標の項目をさらに洗練化したのち、全国の訪問看護及び在宅ケア認定看護師で同意の得られた61名を対象に、デルファイ法を用いて調査を行ったデータが回収されたため、評価指標項目の妥当性を検証した。その結果、「必ず習得すべき能力」15項目、「必要だが徐々に習得すればよい能力」6項目の評価指標を作成した。 作成した評価指標は、管理者や先輩訪問看護師、新人訪問看護師が共通認識をもつツールとして活用することができ、看護実践能力の習得に向けた支援を検討することができると考える。
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