研究課題/領域番号 |
17K12535
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研究機関 | 長野県看護大学 |
研究代表者 |
安田 貴恵子 長野県看護大学, 看護学部, 教授 (20220147)
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研究分担者 |
田村 須賀子 富山大学, 学術研究部医学系, 教授 (50262514)
渡辺 みどり 長野県看護大学, 看護学部, 教授 (60293479)
小野塚 元子 長野県看護大学, 看護学部, 講師 (30449508)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 認知症地域ケア / 地域包括支援センター / 軽度認知症 / マネジメント / 多職種協働 / 施策化 |
研究実績の概要 |
本研究は、認知症初期集中支援推進事業に焦点をあて、認知症になっても本人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域で暮らし続けられるための地域のケア資源として当該事業を機能させるためのマネジメント指針作成の基礎的研究を行うことを目的としている。 自治体(市町村)の認知症施策担当者を対象に、認知症初期集中支援推進事業の運営管理の方法とその内容、その他認知症施策の取り組み、担当者が感じている成果等についてインタビュー調査を行ってきている。これまで6つの自治体から調査協力が得られ、11名にインタビューを実施している。現在の認知症地域ケアは、介護保険法に基づく「認知症総合支援事業」として保険者(市町村)が実施主体であるが、実際の活動では多様な職種や機関によって展開されている。このような背景から、調査においては、認知症対策を担当する保健師に加えて、認知症地域ケアに従事する自治体職員、自治体が委託する地域包括支援センターの認知症担当職員からも調査協力を得ることができた。このことにより、市町村の担当部門とサービス提供機関の重層的な構造を確認できた。 調査協力の得られた自治体のうち、認知症初期集中支援推進事業が事業化される以前から先駆的に取り組んできた2自治体について詳細に分析したところ、認知症初期集中支援推進事業を住民への周知だけでなく関係機関(主に開業医)の理解を得るための取り組みを意図的に行っていた点は共通していた。当該事業を委託形式で行う場合の、委託元としての自治体の担当者の事業運営のイメージを具体的に描いていることが特徴として確認された。また、委託していたとしても、認知症早期にある当事者が参加できる場の状況を丁寧に捉えて、委託先との協力関係のあり方を検討していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成31(2018)年度より継続して実施した事例調査は、認知症初期集中支援事業モデル事業に採択された自治体に加えて、チームの設置方法が多様な事例についても調査を行い、これまでに6自治体のべ11名からインタビューの協力を得ることができた。分析を進める過程で、当該事業の運営形式が多様であることから、自治体の特徴を踏まえた分析が必要と考えるに至った。令和3年度は、国際学会での成果公表ならびに論文投稿を計画していた。 しかし、令和元年度末からの新型コロナウイルス感染症の蔓延により、大学の感染症対策委員として大学全体に及ぶ感染予防対策の検討の任務を負っている。令和3年度は、引き続くコロナ禍での臨地実習の質をどのように確保するのかが課題となった。研究代表者は実習科目責任者として実習指導を担当する教員と実習施設との調整、大学の感染予防レベルの変更に対応させた臨地実習の方法の変更等の調整にあてる時間が増えた。加えて、家族の介護のために遠距離移動を行わざるを得なかった。 このような状況により、当初予定していた研究成果の公表は、国内学会での発表のみとなった。以上のことから上記の評価となった。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画では3ヵ年計画で令和元(2019)年度に終了予定であった。しかし、収集したデータの分析を精緻化することに時間を要しているだけでなく、現在までの進捗状況で述べたように予期していない事態にも遭遇した。研究成果を論文として公表する時間を必要と考え、補助期間の延長を申請し、承認を得ている。 研究チームによる複数回の検討、実践家からの意見収集、近接分野の知見との比較検討を行っていく、研究成果の公表として、論文投稿に取り組む。
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次年度使用額が生じた理由 |
論文の内容検討をweb上で行うためにセキュリテイ―が保たれているクラウドを利用する利用料、論文の投稿料、英文の添削を受けるための費用等が必要となる。
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