研究課題/領域番号 |
17K12536
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研究機関 | 三重県立看護大学 |
研究代表者 |
白石 葉子 三重県立看護大学, 看護学部, 教授 (10305500)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 立ち上りパワー / 下肢機能 / 健康指標 / 運動習慣 / 高齢者 |
研究実績の概要 |
本研究は、健康づくりや生活の質を維持向上することを目的とした身体機能の評価に役立つ指標を見出すために、立ち上り動作における力の立ち上がり率(RFD:Rate of Force Development:以下、立ち上がりパワー)を用いることの有用性を検討することを目的とする。各年代別に、ライフスタイル・身体活動量と、筋力・立ち上がりパワーの関連を調べ、立ち上りパワーがどのように生活や身体活動の状況を反映するのか明らかにしていく。本研究ではこれまでに地域住民を対象とした事前調査を行い、立ち上りパワーの年代による違いや運動習慣と立ち上りパワーの間には有意な関連があることを確認している。 今年度は、今後、高齢者のフレイルや転倒予防に役立つ指標としての検討も行うために、デイサービス・福祉施設への入所等の福祉サービスを利用している高齢者(n=23)を対象として調査を実施した。その結果、虚弱高齢者の場合、自立高齢者と比較し、立ち上りパワーと下肢筋力の年齢による低下率や低下のパターンに差がある可能性を確認した。しかし、今年度採用した転倒に関連する指標や転倒イベントとの関連は不明であった。虚弱高齢者に関しては、対象者数をさらに増やして検討していく必要がある。また今後、身体活動と立ち上りパワーとの関連を定量的に明らかにするために、60歳以上の人を対象として高強度~中強度の運動を定期的に実施している運動群(n=41)の調査を行い、同年代の非運動群のデータと比較した。その結果、運動群の立ち上りパワーは非運動群よりも高く、年齢による低下率や低下のパターンが異なる可能性があることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
年度当初の計画では、過去の研究に引き続き各年代の調査を進める予定であったが、高齢者については、地域で自立して生活している方だけではなく、介護予防や介護度の悪化を防ぐことを視野に入れた調査も重要である。そこで、虚弱高齢者のライフスタイル・筋力・立ち上がりパワーを調べ、次年度以降の研究計画に活かせるように検討を行った。また、今後身体活動と立ち上りパワーの関係を定量的に明らかにすることを目的とした調査を行うため、明確に運動習慣がありその運動強度も確認できる対象者の立ち上がりパワー等の状態を調べ、運動が立ち上がりパワーに与える影響について検討した。これらの知見は次年度以降の研究計画やデータ解釈の際に、具体的に活かすことができるため、今年度の研究の進捗状態は概ね順調であると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、今後各年代におけるライフスタイル・身体活動の状況と下肢機能の調査を続行するとと共に、身体活動を定量的に把握することにより、身体活動と下肢機能との関連を明確にしていく。さらに、高齢者向きの調査内容については、高齢者の身体状況の特性を分けて調査することにより、虚弱や転倒予防に役立つ指標とすることができるかどうか、検討していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度には、対象者の身体活動の状況を定量的に把握し、立ち上りパワーとの関連を調べるために、加速度により身体活動量を把握する装置(ライフコーダー:SUZUKENを予定)15台の購入を予定している。また、調査は20回/年予定しているが、調査ごとに最低3名の調査員や、データ入力要員を要すことから、人件費が必要である。調査会場によっては、会場の借り上げ費が発生する。また、対象者には500円/人相当の謝礼を渡すため、謝礼金が必要である。以上のことより、次年度使用額が生じる。
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