研究課題/領域番号 |
17K12541
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研究機関 | 北海道文教大学 |
研究代表者 |
多賀 昌江 北海道文教大学, 人間科学部, 准教授 (20433138)
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研究分担者 |
佐伯 和子 北海道大学, 保健科学研究院, 名誉教授 (20264541) [辞退]
鹿内 あずさ 北海道文教大学, 人間科学部, 教授 (50382502)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 孤立感 / 子育て / 母親 / 乳幼児 / 産後 / 育児不安 / 母子保健 |
研究実績の概要 |
乳幼児の子育てをしている母親の孤立感について、引き続き質的調査の分析を行っている。分析する過程において、母親が抱く孤立感を引き起こす背景には、産後うつなどのメンタルヘルスの不調や産後に社会とのつながりが急速に閉ざされてしまう環境の変化などが大きく関連していることが推測された。母親の孤立感が強まると、子どもへの虐待や母親のこころの健康の不安定さにつながっていく可能性があることが強く示唆された。 そこで、産後の孤立感は精神疾患のない母親の産後うつ病と児童虐待のリスク因子であるかどうかを調べるために、日本国内における過去10年間の関連文献の調査を行った。3歳未満の子育てをしている健康な女性のうち、産後うつ病や子どもへの虐待のリスクファクターとして挙げれられた因子を精査した結果、主に13のリスク要因が抽出された。それは、1)初産婦であること、2)家族のサポートの欠如、3)経済的困窮、4)妊娠中から強い不安があり妊娠を否定的にとらえていること、5)分娩時にトラブルがあった、6)子育てにストレスを感じている、7)母乳栄養にトラブルがある、8)睡眠の欠如、9)体調の不調や強い倦怠感、10)子どもの泣きや子どもの気質、11)母親に孤立感がある、12)子育て不安を感じている、13)EPDS得点が高いこと、であった。この結果から、産後の孤立感は子育ての困難さや虐待とメンタル不調に影響することが明らかになったため、今後の分析結果と合わせると産後の孤立感の構造が明確化される。 孤立感の構造が明らかになった後は、尺度開発に向けて量的調査の実施を行う計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウィルス感染症拡大により、業務の多様化と業務量が想定外に増加し、研究を遂行することが困難な状況となったため当初の計画より進捗状況は大幅に遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
想定外の事態により、研究実施期間を延長した。今後の感染拡大や対策などにより研究方法の変更の可能性はあり得るが、質的研究結果をふまえて尺度開発に向け量的研究を実施する。対面式での調査依頼が難しい場合には、インターネットを活用したオンライン調査を取り入れて実施する可能性を視野にいれて今後の研究を推進する。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた調査実施と結果の公表が出来なかったため、調査実施に係る人件費、旅費、物品費に減額を生じた。次年度は成果発表と論文投稿、調査実施にかかる費用に助成金を充当する。
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