研究課題/領域番号 |
17K12547
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
小長谷 百絵 上智大学, 総合人間科学部, 教授 (10269293)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 筋萎縮性側索硬化症 / 就労 |
研究実績の概要 |
筋萎縮性側索硬化症(以下ALS)は、根本的な治療法がなく、全身性の障害を示し、呼吸筋麻痺により死に至る予後が悪い疾患である。しかし近年、人工呼吸器の利用と療養環境の整備などにより患者は在宅で長期の生存が可能になった。 ALSのような難病に関して、我が国では昭和47年に難病対策が初めて策定され、平成27年には難病新法が施行された。その基本方針の1つに「国民の理解の促進と社会参加のための施策の充実」があり、その細目に、難病患者の「就労支援の充実」が織り込まれている。 難病中の難病と言われるALS患者の中にもIT機器を活用し、講演活動や株式投資、執筆、介護事業所の経営などから収入を得て社会参画をしている者がいることは昨年のインタビュー調査によって明らかになった。さらに、疾患の進行とともにコミュニケーションのアウトプット能力が低下し介助をするマンパワーの限界などから社会参画を諦めざるを得ない実態も明らかになった。このような実例はあるが、人工呼吸器をつけた患者の就労に関しての研究調査が少ない。 今年度は、全身性重度障害を持つALS患者の「収入を得ている社会活動(以下就労)」について実態と、介護環境、どのような支援があったら発病前の職業が継続可能であったのか、どのような支援があれば就労が可能になるのか、就労をしていることとQOLとの関連性を示すための調査用紙の作成をした。また調査はweb調査のため、視線入力などのインターフェイスによるスイッチ入力のユーザビリティーについても確認した。現在は調査に向けての倫理審査委員会への申請書の作成中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
全身性の障害がある患者を対象としたインターネットによる調査のため、コミュニケーションツールのインターフェイスとしてのスイッチによる回答のしやすさと調査用紙の組み立ての試行錯誤に時間が費やされてしまった。
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今後の研究の推進方策 |
ALSのような難病に関して、我が国では昭和47年に難病対策が初めて策定され、平成27年には難病新法が施行された。そのALS患者の中にもIT機器を活用し、講演活動や株式投資、執筆、介護事業所の経営などから収入を得て社会参画をしている者がいることは昨年のインタビュー調査によって明らかになった。 今後はweb調査のための回答者の募集の準備と、調査実施のための倫理審査委員会への申請を行い、全身性重度障害を持つALS患者の「収入を得ている社会活動(以下就労)」について実態と、介護環境、どのような支援があったら発病前の職業が継続可能であったのか、どのような支援があれば就労が可能になるのか、就労をしていることとQOLとの関連性を示すためのweb調査を実施し、望ましい就労支援についてまとめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
インターネットによる質問紙調査を予定し、そのシステム作成料や管理料などに主に使用する。
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