今回の調査では、インドネシア・ジョグジャカルタ地域の高齢者の介護に対する思い、生活意識や文化的背景、価値観を知り、地域に生活し続ける思いについて明らかにすることを目的とした。ここで明らかにした住民の思い、ニーズを、日本社会への共助ボランティア導入の際に生かすつもりである。このニーズは、地域にすむ若年者のボランティア意識と合致させることにより、「自発的意思に基づく限界地域におけるボランティアモデル」の開発にもつながるものとなる。
今日、日本の社会保障システムにおける公的な医療・介護保険制度のみでは、高齢者のQOL(生活の質)をサポートすることに限界が生じている。特に農村過疎地域においては、再びアナログ的な人間関係の再構築の必要性があるのではないかと考え、インドネシアのポシアンドゥ・システムを参考にして、ソフトウエアの面で、日本の農村過疎地域の実情に合うように導入できれば、日本の高齢者の生活の質に向上に貢献できると考えた。
本研究では、ウンジャニ大学健康科学部看護学科の協力の下、Gamping地区の高齢者ポシアンドゥ(高齢者23名・医療ボランティア8名)を調査し、生活面・職業・家族問題・経済問題などについて回答を得ることができた。①高齢者にとって通いやすい、親しみやすい交流の場として機能していること。②家族形態が大きいほど、悩みも多く、ボランティアおよび友人たちから適切なアドバイスが必要なこと。③ポシアンドウがプライマリ・ヘルスケア施設として機能し、医療ボランティアである(カデル)が健康面でのサポートおよびアドバイスを提供していること。④コミュニティ・レベルの交流が活発であり、それゆえ地域に対する愛着も強く、生活できることがわかった。
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