研究課題/領域番号 |
17K12552
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研究機関 | 藤田保健衛生大学 |
研究代表者 |
宮本 美穂 (石黒美穂) 藤田保健衛生大学, 医療科学部, 講師 (40586731)
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研究分担者 |
柳澤 理子 愛知県立大学, 看護学部, 教授 (30310618)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 地域包括支援センター / 保健師 / 高齢者 / 介護予防 / コンピテンシー / 個別支援 / 地域づくり / 行政保健師 |
研究実績の概要 |
本研究目的は、①地域包括支援センター保健師のコンピテンシーリストの開発する、②開発したリストを用いて、行政保健分野保健師と地域包括支援センター保健師において異なるコンピテンシーおよび行政保健分野の経験だけでは獲得が不十分な特徴的なコンピテンシーを特定する、③地域包括支援センター保健師の研修モデルを提示することである。 平成29年度は、目的①および②に取り組んだ。①では、研究代表者が先行研究にて開発したコンピテンシーリスト案を用いて、全国の地域包括支援センター50%の割合で無作為抽出した施設の保健師に対して郵送による自記式質問紙調査を行った。探索的因子分析の結果、回答者が構成した概念に従って解釈し回答されていないと思われる項目があったため1項目の削除および5項目の文言修正をし、【修正版】コンピテンシーリストを作成、改めて信頼性、妥当性の検証を行った。1回目調査した施設を除く全国の地域包括支援センター50%を無作為抽出し調査を行った。探索的因子分析を行い5因子構造を最適と判断した。基準関連妥当性は、自尊感情尺度r=0.32、職務満足感r=0.34であり有意な弱い正の相関がみられた。内的整合性は、Cronbach’s αはリスト全体で0.970、時間的安定性は、リスト全体で0.88と高い相関を示した。以上を総合し【修正版】リストの信頼性、妥当性は認められたと判断した。②では、【修正版】リストを用いて、全国の人口2万人以上の市区町村に所属する行政保健分野保健師で、保健師経験5年以上かつ高齢者分野2年以上担当している者を対象に質問紙調査を行った。分析は、2回目調査で行った地域包括支援センター保健師と行政保健分野保健師のデータを比較検討した。その結果、地域包括支援センター保健師の特徴的なコンピテンシーが明らかとなり、不足しているコンピテンシーとして「地域づくり」が明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究開始前より先行研究として、コンピテンシーリスト開発のために、文献からの構成概念の検討および愛知県内の地域包括支援センター保健師を対象にインタビュー調査結果からコンピテンシーリスト項目を抽出し、さらに抽出したコンピテンシーリスト項目に関して専門家パネルを構成し内容を検討していた。そのため、平成29年度は、複数の検討を重ねたコンピテンシーリスト案を用いて、目的①および②の質問紙調査を開始することができたため、計画以上に研究が順調に進めることができ、研究実績に示したような成果を得た。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、この研究結果をもとに研修計画モデルの開発に向けてどのような内容を盛り込んだらよいかを検討する予定である。そのために、コンピテンシーの関連要因の分析を深め、コンピテンシーを向上させるための因子について検討することで、焦点を絞った研修アプローチを検討する予定である。これまでの研究成果を、学会等で公表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度は、学会で成果を公表予定であり、旅費および発表準備のための消耗品として使用する予定である。
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