研究課題/領域番号 |
17K12554
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研究機関 | 修文大学 |
研究代表者 |
飯盛 茂子 修文大学, 看護学部, 准教授 (90310599)
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研究分担者 |
粕谷 恵美子 中部学院大学, 看護リハビリテーション学部, 教授 (20522775)
甲村 朋子 人間環境大学, 看護学部, 講師 (70342136)
柴田 益江 修文大学, 看護学部, 准教授 (60390043) [辞退]
橋本 亜弓 (根子亜弓) 愛知医科大学, 看護学部, 助教 (70583392)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 災害弱者 / 即時行動 / 認知機能低下 |
研究実績の概要 |
韓国の小規模施設における施設職員への意識調査並びに施設設備・防災準備状況の調査を行った。日本と同様に高齢化が進んでいるが、災害に対しての意識は日本と比較して高くない結果となった。日本・台湾と比較し大陸にあること、台風の進路に入りにくいことから地震や水害が少ないことが影響しているものと考えられる。一方で火災に対しては利用者とともに避難訓練を行ったり、消防署による点検を月に一回受けるなど高い意識を持っている。 日本国内における認知症対応型共同生活介護管理職に対し防災意識尺度を用いた調査結果の評価をおこなった。総合点並びに全てのスコアにおいても高めであり、災害意識は高い。また、火災における避難訓練や施設設備はほぼすべての施設で取られていた。一方で火災以外の災害に対しての準備については取り組まれている施設が少なく、特に避難時に必要とされる車への燃料補給が意識されていることが少ない状況が明らかとなった。 日本国内の認知症対応型共同生活介護における災害時即時行動の呼びかけのポスター原案の作成を行った。避難訓練に参加し、高齢者の避難状況、職員の対応から必要事項を検討し、初見にて対応できるようイラストを用いたポスターを作成した。数か所の事業所に配布し、パイロットテストを行い、意見を取り入れての完成版としたい。その後、実際に活用いただいての質問紙調査をするなどして、被災時行動の啓発や職員の準備状況の確立へとつなげたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2018年度は韓国における半構造化インタビュー調査が中心となった。釜山では事前に15か所、調査対象施設に連絡を入れてたが継続して運営できているところが少なく、調査対象施設の依頼から困難を要した。日本における認知症対応型共同生活介護と類する形態の施設が少ないため、予定していた韓国の3地域での釜山調査は老人生活科学研究所、釜山シニアケアセンターを見学した。センターは15施設の複合施設で、福祉と研究が行われていた。防災設備についての国の支援内容、消防署と連携内容、訓練内容、準備状況を確認した。また、事業所経営の課題、独居高齢者の増加について聴取した。 ソウル近辺では認知症対応型共同生活介護と類する形態の施設で調査できた。近隣の群では2~3か所のみ。小規模施設数については経営難のため減少傾向にある。設置については複合施設ではなく、単独施設数が多い。災害対策については火災想定をしているのみで、地震や台風や戦争による人災想定はあまりされていない。地震や洪水、空気汚染、暑さによる災害の場合は支援がある。避難訓練状況、避難場所については近隣の教会を想定していた。消防法による制度や準備状況について確認できた。 その他、ソウル市内の防災に関する情報収集のため、地下鉄などを使い移動し、地下鉄内や掲示物での防災への呼びかけ状況を確認した。自然災害というより、テロなどに備えてのものもみられた。しかし、避難経路や救命方法など車内でもビデオを流すなどされていて、日本でも取り入れられると感じた。 韓国調査の取りかかりに時間を要したため、全体的に国内における災害時即時行動ならびに対応を呼びかけるポスター作成が遅れた。各事業所に送付し評価をする予定であったが、ポスター作成までとなり送付時期が2019年度にずれ込む形となった。
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今後の研究の推進方策 |
2018年度よりずれ込んでいる災害即時対応方法についてポスター形式での防災支援プログラムを認知症対応型共同生活介護施設へ送付し、災害対応への啓発ならびに評価をする。評価については活用状況や職員の意識変化、プログラムに関する意見を調査し、より具体的な災防災支援につなげたい。返信のあった施設のうち、許可のある施設に対して具体的取組への関わりを持つなど認知症など災害弱者になりやすい対象者に対し事業所とともに取り組める支援活動としていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
韓国における調査について先方との調整がずれ込んだため、調査が遅れた。それに伴い、国内での災害支援プログラムの作成が遅くなり、作成後の調査が年度持ち越しとなった。2019年において、支援プログラムの送付ならびに調査を行うため、持ち越し金を使用する。
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