研究課題/領域番号 |
17K12556
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研究機関 | 園田学園女子大学 |
研究代表者 |
杉野 美礼 園田学園女子大学, 人間健康学部, 講師 (10434961)
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研究分担者 |
神原 誠之 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 准教授 (10346306)
沢辺 元司 東京医科歯科大学, 大学院保健衛生学研究科, 教授 (30196331)
吉田 由記子 園田学園女子大学, 人間健康学部, 助教 (40636122)
内藤 毅 徳島大学, 国際センター, 特任教授 (60164109)
溝畑 智子 神戸女子大学, 看護学部, 助教 (80724434)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 多職種連携 / IT技術 / ネパール / ヘルスプロモーション |
研究実績の概要 |
目的:多職種専門職者の国際協力により、IT 技術を活用したネパール村落部におけるヘルスプロモーションを推進する。村落住民の主体的な活動により、持続可能な健康管理システムを村落内で確立し、住民の健康管理能力の向上と専門職者との連携力を高める。対象地区:カトマンズ近郊村落およびネパール中央部村落 ① 対象村落部で運用可能な自己健康管理プログラムを開発し、住民の活用を支援する。 2017年8月、12月、2018年3月に対象地区の公立学校において生徒の身体測定、成人住民 の体重、BMI、血圧測定を行い、測定値を学校内PCに一括管理した。生徒、住民の個人 管理用として測定用紙を配布し、個々の測定値を記録した。 ② 住民主体の健康増進活動により住民の団結力と村落のレジリエンスを向上する。 学校の身体測定は教員が主導で実施できるように研究者チームが補助をしながら実施した。ネパール公立学校では身体測定を定期的に行っていないことから、教員が測定方法を習得し、定期的に実施していく必要性を認識した。を成人住民の体重測定等は実施後測定値に関する健康教育を行い、健康的な測定値をめざし生活習慣を改善するよう意識づけることができた。ネパール中央部の対象地区では栄養改善をめざしたモリンガ栽培を住民主体に推進中である。 ③ 村落の健康管理サービス維持に必要な専門職者とのネットワークを構築する。日本研究チームのIT専門職者が身体測定の入力プログラムを開発中した。運用方法についてネパールIT専門職者が現地のネットワーク状況を確認しながら、サーバー管理ができるようにプログラムを作成中である。情報管理用サーバーは対象地区の学校、住民団体が契約できる状態になるまで、研究チームのサーバーを使用できるように調整する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.健康教育・身体測定・データー管理進行状況:平成29年度中にネパール国内の議員選挙があり対象地区の村落委員会との提携が滞りがちであったが、公立学校及び住民グループ代表者と連携がとれ、予定していた身体計測・健康教育は実施することができた。ネパール国内ではネット配信による公立学校用教育プログラムが開始されており、都市部の学校を中心に各クラス週1回のネット授業が実施されるようになった。この事業に伴い、本研究の身体測定データ管理に必要なサーバー契約が研究期間中に可能となってきた。学校、住民グループの健康管理データーの保管に対する意識も高まってきている。 2.住民参加状況:首都近郊村落は本研究開始以前より健康教育活動を行っていたので、住民の協力は得られやすく積極的な参加状況であった。ネパール中央部の対象地区では、首都郊外村落と違い対象地区住民の参加が少なかったが、年度後半に新たな住民グループの参加申し出があり、住民集会と血圧・体重・BMI測定、健康教育を実施することができた。3.栄養改善のためのモリンガ栽培の状況:ヘルスプロモーション推進のために対象地区で自生する栄養価の高いモリンガについて、効用や利用方法について住民の理解度が増してきた。新しく参加したグループはモリンガ栽培への関心が高く、グループ内でモリンガ栽培を促進するために苗木を育て始めた。対象地区に自生するモリンガは年1回しか収穫できないため、将来の経済資源としての利用価値がやや低い。ネパール研究チームにより、他地域に自生する年2回収穫できるモリンガから苗木を準備し、対象地区での栽培をすすめることになった。
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今後の研究の推進方策 |
1.身体測定データ管理:昨年度作成した入力プログラムの作動状況を確認しながらネットサーバー管理できるように調整する。対象地区の学校または住民グループが独自にサーバー契約できるようになるまで、研究チームの使用するネットサーバーで一時的にデータを保存する。 2.身体測定データの活用:対象学校のコンピューター教育の一環として、身体測定データを活用した教育プログラムを作成する。研究チームのIT専門職者が中心となってプログラム内容を検討する。 3.自己効力感等の質問紙調査:ネパール語翻訳した調査用紙により対象地区での調査を実施する。 4.モリンガ栽培促進:準備中のモリンガ苗木の栽培をすすめ、各家庭に1-2本の苗木を配布しモリンガの葉の収穫を試みる。(モリンガは1年で3-4mに成長して、栄養価の高い葉の収穫ができる)。モリンガの葉を利用した調理法を住民グループ内で検討し、各家庭で実施できるようワークショップを開催、調理方法のパンフレット等を作成し配布する。
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次年度使用額が生じた理由 |
ネパール渡航予定であった研究者2名が渡航できなかったため次年度に渡航することになった。次年度旅費として使用予定である。
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