研究課題/領域番号 |
17K12557
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
椛 勇三郎 久留米大学, 医学部, 講師 (30368964)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 成功報酬 / 要介護度の改善 |
研究実績の概要 |
要介護度を改善した介護事業者の成功報酬(インセンティブ)に関する評価基準の開発を行うために,平成29年度は次のことを計画に掲げた. 1.介護サービス利用者の要介護改善状態の実態や要介護認定区分以外の改善状態をあらわす生活の質に関する指標の情報収集,介護事業者職員の自立支援や重症化予防に関する認識についての情報収集である. 2.上記1の情報を活用した調査票の作成である. 情報収集をすすめていく過程で,研究デザイン,調査項目,データ解析方法を再検討する必要が明らかになった.特に事業者ごとに利用者の心身状況や病状の変動が大きいこともあること,利用者を取り囲む物理的・社会的な環境の違いがあること,利用者によっては複数の事業者で介護サービスを利用していること,事業者ごとに自立支援や重症化予防に関する認識の違いがないと否定できないことが把握でき,データの階層性を考慮した分析が必要なことが明らかになった. また,アウトカム評価だけでなくプロセス評価も重視するような評価指標の開発が望まれていること,地域の実情に応じてどのような自立支援・重症化予防の項目を優先課題とするのか研究協力自治体との課題共有も必要であることが示唆された. 自立支援や重症化防止ができなかった場合のペナルティがないインセンティブの制度が整うことで,自立支援と重症化防止は容易に進むと思われたが,インセンティブが付与されるように要介護状態が改善しやすい者を選別することが生じたり,インセンティブの付与が介護事業者の優劣をあらわす指標として捉えられる問題があり,それらをクリアしていく必要性が示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究を進めていく過程で,申請者の想定外の情報や実情(利用者・事業者・地域の特性)があり,それらも考慮しなければ適切な評価基準の開発は困難なことが明らかになった.その結果,研究デザインやデータ解析方法,調査票などの再検討が必要になっていることより進捗状況としては遅れているといえる.
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度の情報収集の過程で明らかになったことを再検討し,そのことを調査票に反映して再度作成する. 申請者の所属機関と研究協力自治体で倫理審査を受ける.
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次年度使用額が生じた理由 |
調査票の作成過程で見直しが必要になり,印刷費用などが不要になったためである.
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