介護事業者(以下,事業者)が提供するサービスによって要介護度の改善状況を評価するにあたり,新型コロナウイルス感染症の感染拡大による影響が,事業者が提供するサービスの質的変化,要介護認定者の要介護度の改善状況(サービスの利用控え・外出や交流機会の減少にともなう日常生活動作や認知機能低下等による影響),ケアプラン内容の変更(通所介護・通所リハビリテーション等の通所サービスの利用減少)や利用者が望むサービスの利用頻度にどのような影響があるかを,関係機関等と検討を行った.その結果,主観的な見解では,通所系で減少した時期もあったこと,事業者によっては年間を通すと相対的な変化は少なかったこと等,事業者によって様々であることは確認できたが,客観的なデータによる検討はできなかったため,結論を導き出すことはできなかった. また,検討過程で,老化や慢性疾患,認知症による要介護状態では,効果的で十分なサービスを提供し,一時的に改善しても,状況によってはすぐに悪化したりして悪化と改善を繰り返し,改善が見込めない時期に移行することも考えて評価基準を作成する必要性が示唆された.さらに,評価できる対象を年齢や状態像(慢性疾患,認知症等)によってプロファイリングし,そのサブグループごとに提供されたサービスの評価を行うことが重要であることが明らかになった.課題としては,新型コロナウイルス感染症感染拡大時期とそれ以外の時期を比較検討していけるように研究デザインを一部変更し対応させる必要性についての提言があった.
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