研究課題/領域番号 |
17K12560
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研究機関 | 活水女子大学 |
研究代表者 |
井上 高博 活水女子大学, 看護学部, 准教授 (10382277)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 離島 / 都市部 / 農村部 / 要支援高齢者 / 多世代間交流 |
研究実績の概要 |
当該年度の研究計画では、離島・都市部・農村部在住の要支援高齢者(各地域200名)の健康状態と多世代間交流の調査を行う予定であった。具体的な調査内容は、要支援高齢者の健康状態(要介護度の改善や悪化状況、認知機能状態、入院の有無、死亡の有無など)のほか、他者との交流頻度、多世代間交流に関する測定を予定していた。 今年度の研究実績としては、都市部・農村部・離島部の虚弱高齢者に対して、活動能力ならびに他者との交流頻度や人付き合いに関する調査を分析した。その結果、虚弱高齢者の活動能力は、都市部の男女ともに高く、離島男性が最も低いことが明らかとなった。また、同じ社会背景をもつ人との付き合いでは、離島女性が最も高く、離島男性は最も低いことが明らかとなった。つまり、都市部の生活機能は男女ともに高く、離島の人づき合いには性差があったことを明らかにした。 また、上記の調査実施後に、Lubbenの社会的ネットワーク日本語短縮版尺度(栗本ら,2011)ならびに地域在住高齢者の活動能力を評価する老研式活動能力指標(古谷野ら,1975)の合計得点がともに満点であった女性1名を選び、聞き取り調査を行った。その分析結果として、他者との多くの交流と高い活動能力をもつ離島高齢女性の他者への思いには、【人付き合いで感じる気遣い:交流する人々への好感】【人付き合いで感じる巡り合わせの良さ:出会った人に大切にされることの実感】【人付き合いで心掛けていること:欲深きことは考えずに謙虚に接する心掛け】【人付き合いのための外出:外出しないと得られない人との交流】の存在を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
要支援高齢者の活動能力および他者との交流の頻度を基準とし、その高低の程度を抽出した後、その対象者に地域包括センター専門職者らを介して、研究依頼を行うことに時間を要した。コロナ禍であり、対面での聞き取り調査は難しい状況ではあったが、研究計画調書で立案した調査は、おおむね終了した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は調査データの解析を行う予定である。本研究協力者である各地域包括支援センター専門職者は、本研究の結果を介護予防事業にも十分に活用できると期待されているため、データ分析を可能な限り早く行い、各地域における要支援高齢者の健康状態のほか、他者との交流および多世代間交流の特徴などを提示し、地域特性を考慮した介護予防事業の推進につなげていきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
残額分は、研究協力地域に研究成果を説明するための旅費などであった。しかし、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の観点から、現地に入ることが難しい状況であったことから、一部オンラインでの成果報告を行った。研究協力地域の中には、オンラインでの成果報告が難しく、対面での研究成果の説明が必要なところもあるため、その旅費などに充当したいと考えている。
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